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函館古地図マップで、明治の町並みを巡る

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函館古地図マップで、明治の町並みを巡る

函館観光のメッカ西部地区には、明治初期に形成された古い町並みが残り、多くの由緒ある建築物が観光スポットになっています。このエリアを散策する多くのかたが、「古地図」を頼りに「時間旅行」を楽しめるようなガイドマップを作りました。このマップが函館の歴史に関心をもつ皆さまの道案内となり、函館のディープな魅力を楽しんでいただけることを期待しています。

明治15年に発行された【函館真景】には、明治11・12年の大火からの復興の過程で大規模な街区整理が進んだ函館の様子が美しい彩色で描かれています。この時期に函館山のふもと(現在の西部地区)では、道路の拡幅や坂の直線化が実施され、今日も残る町並みの骨格がほぼ出来上がりました。

同じ頃に写真師・田本研造らが市街を撮影したパノラマ写真などが、函館市中央図書館に収蔵されています。特に近年発見されたガラス原板から、極めて高精細の画像が得られるようになりました。この「函館古地図マップ」は、【函館真景】に記された当時の建物などの様子を、同時代の写真などで紹介。併せて、現在の様子も重ねあわせたものです。

【函館真景】に描かれた現在に残る町並み

税関・船改所など、当時の港湾施設

明治15年に、函館在住の浅野文輝が作成し、東京日本橋の渡辺寅蔵が発行した木版画【函館真景】は、函館市街を北東方面から見下ろす角度で描かれた、彩色にも優れた壮大な鳥瞰図。当時の函館の港と市街地の様子を詳細に描写しています。

港内には多くの外国船に混じって、帆柱をあげた和船が多数碇泊しています。函館山のふもとにはびっしりと住宅が建ち並び、中腹には役所・寺院・学校などの大規模な建物が見えます。岸壁は弁天の砲台跡(現在の函館どつく)から、現在の函館駅付近まで石積みが築かれ、現在のベイエリア一帯には、港内の船舶からの積み荷を運ぶ小型船が往来するための水路が縦横に走っています。主要な建物には地図上に名称が記載されていて、写真や他の史料と照合することにより、現在の町並みと比較することができます。

函館山と函館市街の【パノラマ写真】

上の写真のクローズアップ。下は三菱倉庫

函館の写真術の先駆者である田本研造らは、【函館真景】発行とほぼ同じ時期に、函館の市街を高精細の【パノラマ写真】に収めています。従来もプリントされた写真は知られていましたが、その写真のネガ(ガラス原板)は長らく函館市中央図書館に未整理で収蔵されていました。

平成24年の発見以降、ガラス原板からのデジタルスキャンが進み、高精細の画像が得られるようになりました。さらにその後の調査・研究で、【函館真景】に描きこまれた当時の建物や地点の多くを【パノラマ写真】の中に確認することができました。これらの建物の多くは、その後明治40年・大正10年の大火などで焼失していますが、街区や岸壁などは当時の姿を留めるものも多く残されています。

「函館古地図マップ」ダウンロード

【函館真景】の全体図上に現在の函館の主な観光スポットの位置を表示し、欄外に各建物の現在の姿をイラストで掲載しました。市電路線と現在の岸壁も記入し、明治15年当時と現在の比較ができるようにしました。

【函館真景】の全体図上に現在の函館の主な観光スポットの位置を表示し、欄外に各建物の現在の姿をイラストで掲載しました。市電路線と現在の岸壁も記入し、明治15年当時と現在の比較ができるようにしました。

テーマ別スポット紹介(タイトルをクリックすると詳細ページに)

1)開港場の水際

幕末開港後の港の機能が集まった岸壁、居留地や造船所も

税関、船改所、桟橋、外国人居留地など

2)台町の表情

大火後の街区再編で寺院の移転などが進み、様相が一変した台町一帯

高龍寺、称名寺、貸座敷など

3)金融と官庁の町並み

官庁や金融・商業の集積が進む基坂周辺から大通り

函館県庁、病院、郵便局、新聞社、三井銀行など

4)坂上に異国風エリア

元町の高台に現れた外国教会や学校などの洋風建築

イギリス領事館、ハリストス正教会、遺愛女学校など

5)埋立地の倉庫群

水路が縦横に走り、現在のベイエリアの母体となった埋立地

三菱倉庫、常備倉、外国造船所など

6)願乗寺川の周辺

水道の普及の端緒となった人工水路、現在は高砂通り

西本願寺、女紅場、監獄署など

歴史的事実は資料によって異なる見解が存在する場合がありますが、このマップは主に「函館市史」の内容を参考に作成しております。

「函館古地図マップ」は、市内観光案内所などで配布中です。
送付ご希望のかたは、こちらからお知らせください。
(お問い合わせ内容欄に「古地図マップ希望」と送付先住所・郵便番号・電話番号を記入)。


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