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いしいけじゅうたく
元町の、まるで外界の喧騒を遮断したかのような目立たない場所にある、趣のある庭園を備えた純和風住宅。景観形成指定建築物。 一般民家のため、公道からの鑑賞に。
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八幡坂を上り、行き止まりの観光客がよく記念撮影をしているスポットの、ひとつ坂下の横通りを右に折れる。すると、通りの正面遠くに元町公園が見え、そのまま少し歩くと、すぐ左手にピンク色をした可愛い建物が目に入ることでしょう。その横から小路に入ると、今まで見た風景とは別世界の空間が広がります。まるで、時代劇のセットを作ったか、テーマパークとして昔の建物を再現したのか......と思ってしまうほどの異空間。その主役となっているのが、石井家住宅です。
この周囲には、函館の名士と呼ばれる人物の邸宅が散らばっています。それぞれの邸宅に関しては文献・言い伝えなどが残っていることが多いのですが、この建物に関して、ほとんどそのようなものがないにもかかわらず、その風格・風情などで他に類を見ない存在感を示しているのが、函館の奥深さのひとつといえるかもしれません。
建築されたのは、1927(昭和2)年。純和風建築物ではありますが、2階の屋根が瓦葺き、1階が銅板葺きという珍しい組み合わせで、表玄関が道路に直に面しているのに対して、その左右に塀と腕木門を配しているのも、また変わっています。外壁は、堅固だが多大な費用と職人技術を要する簓子(ささらご)下見張りを全面的に採用し、より一層の風格を与えています。また、2階の小窓を円形に見せていますが、この頃の流行であったと思われます。もうひとつの見どころは、塀の間から垣間見ることのできる日本庭園。この庭園を南の光を受けながら静かに眺めることのできる縁側も、情緒を醸し出しています。
個人の住宅ですので、表からそっと見学するだけになりますが、どうぞ、まるでエアポケットに入ったかのような、静寂な和の空間を味わってみてください。そして、様々な建築様式が競演していた元町の「粋」を感じていただければ、函館の文化の醍醐味を少し堪能してもらえると思います。
参考資料/函館町物語(元木省吾著)
※記者J 2011/10/27撮影、2012/2/13公開 2021/7 更新
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