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あなたのテーマでディープな函館 「教会・修道院」

函館ハリストス正教会の「ウクライナたまご」

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教会が数多く建ち並ぶ、函館山ふもとの元町地区。クリスマスになると厳かなお祝いムードに包まれますが、ハリストス正教会では春の「復活祭」が最大の行事とのこと。長く厳しい冬が終わるころ、教会ではキリストの復活を祝って「復活祭」が盛大に行われます。

この日は、世界中の教会や家庭で「イースターエッグ」が用意されます。イースターエッグは、国や地域によってさまざまな種類がありますが、ここ元町の函館ハリストス正教会では、ろうけつ染めのイースターエッグ、通称「ウクライナたまご」を制作しています。繊細で独特の幾何学模様は、見る人の心を捉えて離しません。異国情緒あふれる函館で、 ウクライナ地方で古くから伝わる芸術にふれてみませんか。

◆イースターエッグの芸術品「ウクライナたまご」

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復活祭(イースター Easter)とは、毎年3月下旬~4月の日曜日に行われる、十字架で犠牲になったイエス・キリストの復活を祝う喜びの日。 この日のために特別に飾りつけられた卵が、イースターエッグです。その由来は、卵は生命の象徴であること、ひながかえるようにキリストも死という殻を破ってよみがえったこと、また、かつて復活祭の前にたまごや乳製品等を断食する習慣があり、厳粛な時期から開放された人々が復活祭を祝った......など、諸説あります。

ハリストス正教会の復活祭でもイースターエッグは欠かせないもので、赤く着色したゆで卵を数百個準備し、祈りを捧げるために教会を訪れた人々に配ります。国や地域によっては、卵をラッピングしたり、子ども向けの遊びに使われたりもするそうです。

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イースターエッグのなかでも芸術的要素が強いのが「ウクライナたまご(ウクライナ語でピサンキ pysanky)」で、こちらは食べるものではありません。熱で溶かしたロウを使って卵に線や模様を描き、染料液で着色を繰り返すことで、殻に精緻な模様を描いていきます。使う色や模様(シンボル)にはすべて意味があり、例えば農民には「麦の穂(豊かな実り)」と「波の模様(富)」を、というように、 贈る人に合ったものを願いを込めて作り、復活祭にプレゼントするのだそうです。

日本でこの伝統的なイースターエッグを手がけるかたは数少ないのだそうですが、函館ハリストス正教会では、ウクライナたまごに魅せられ、独学で制作をはじめた盛田誠さんの作品を間近で楽しむことができます。芸術品といえるイースターエッグを眺めていると、時間のたつのも忘れてしまいそう。ひとつひとつの作品からは作者の祈りや、歴史の重みが伝わってきます。

盛田さん制作の美しいイースターエッグ(ウクライナたまご)を見学したいかたは、
12~14時の間に、函館ハリストス正教会聖堂受付で申し出てください(見学期間は3月下旬~12月25日)。
なお、教会の行事等によっては見学できない場合もあります。


◆ウクライナたまごの体験講習会もあります

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函館ハリストス正教会では、不定期でウクライナたまごの一般向け講習会も開催しています。信徒でない一般のかたでも参加自由。信徒のかたが講師となって、ていねいにつくり方を教えてくれます。

雪がちらつく11月下旬、母娘で講習会に参加してきました。会場は、敷地内の信徒会館。必要な道具はすべて用意されています。「私にもできるのかな」と不安でいっぱいでしたが、講師のかたのサポートもあって、初心者でも約3時間で模様を描くことができました。

まず、DVDで基礎知識を習得。テキストの中から好きな柄を選び、生卵に鉛筆で下書き。灯したろうそくの上でキストカ(卵に模様を描くペンのようなもの)の先を軽くあぶり、熱で柔らかく溶かした黒色のロウが固まらないうちに、卵に模様を描きます。途中で黄色、オレンジ、赤など、幾度か染色作業を繰り返して、初日の作業は終了です。

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黒色のロウをろうそくの炎で溶かして卵に線で模様を描くのと、染色するのを繰り返していきます。


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このあと、講師のかたが卵の中身を取り出して一晩乾燥させてくれて、生卵の中は空っぽに。翌日、穴をロウでふさぎ、最後の染色作業をしたら、いよいよクライマックス。ドライヤーの熱で黒色のロウを溶かすと、ロウの下に隠れていたカラフルな模様が一瞬にして浮かび上がります。その瞬間は感動的で、思わず声をあげてしまいました。

「この瞬間を味わうと、楽しくて、また次の作品をつくりたくなるんですよ」と盛田さん。達成感と嬉しさのあまり、作品と一緒に記念撮影する表情は、ゆるみっぱなしです。

色と強度を保つため、ラッカーで保護する作業は講師のかたにおまかせ。約2週間かけてゆっくり乾かしたら、完成です。作品の受け取りは壊れものなので手渡しで。教会で預かっておいてもらえるので、旅行者のかたは次の函館旅行までのお楽しみになります。

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次回の講習会は2013年9月28日(土)・29日(日)に開催予定。両日13~16時。殻の中を乾かす工程があるため、講習は2日間となっていますが、時間がとれない場合は卵に模様を描く1日だけの参加も可能。申し込み時にご相談下さい。参加費300円(実費)。定員16名に達し次第締め切り。

難しい作業はサポートがあるので、小学生でも体験可能(ただし、火を使う作業があるため保護者同伴のこと)。函館旅行の思い出に、体験してみるのも素敵ですね。
問い合わせ/函館ハリストス正教会 電話0138‐23‐7387、ファックス0138‐23‐7939

※編集室N 2012/11/24・25取材、12/18公開 2013/8/8更新