トップに戻る
あなたのテーマでディープな函館 「スイーツ・パン」

大福からご飯ものまで、函館市民の愛する餅屋

20141030c10.jpg
函館には、あちらこちらの町に「餅屋(もちや)」があるのをご存知ですか。大福やおだんごを売っている店というと、「和菓子屋」をイメージするかたが多いかもしれませんが、それとは違って「餅屋」なのです。練り切りや求肥などの上生菓子を中心とした和菓子屋に対し、餅屋は、大福やベこ餅などの餅菓子、まただんご類を中心に、いなり寿司やお赤飯などのご飯ものも売っているのが特徴です。

庶民の生活に溶け込んで、港町函館に栄えてきた餅屋。その魅力について、老舗の餅屋のご主人たちに伺ってみました。

(餅菓子やだんご、赤飯やいなり寿司が並ぶ「餅の北屋」の店先)

◆「餅屋」は市民の生活に密着していた、函館の文化

20141031c11.jpg
函館の餅屋は、函館の人にとって、冠婚葬祭や正月、祭りなど、家族の大切な出来事や町を挙げての催し物など、季節や人生の節目に欠かせない存在だったようです。「お祝い時には紅白の大福が買われていきます。今は2個入りが中心ですが、昔は2000~3000円の箱単位で大量に買われていったものです」と、明治40年創業の老舗の餅屋「弁慶力餅 三晃堂」のご主人。「かつては1つの町名の区切りの中だけで、3~4軒の餅屋があったところもある」といいます。

また、市電谷地頭電停の目の前にある餅屋「市中屋」のご主人は、「港町函館が函館港を中心に栄えていったように、餅屋も海沿いの町から北へと栄えていったのではないでしょうか」と推察します。現在でも、存在感を放ちつづけている老舗のお店が多いイメージですが、以前はもっともっとたくさんの餅屋さんがあったのでしょう。

20141029c06.jpg 20141030c11.jpg
(順に、弁慶力餅 三晃堂、市中屋、餅の北屋)


◆餅屋の定番、人気の餅菓子ベスト3~大福、べこ餅、豆餅

20141030c01.jpg
のしもちやお供え餅なども売っていますが、やはり主力は餅菓子です。もち米のみから作る「大福(写真奥)」はずっしり。豆大福は、豆がゴロッと存在感を放っています。草大福やいちご大福なども人気。

道南地方が発祥とされる「ベこ餅(左)」は、もち米とうるち米をブレントしてひいた粉から作り、噛み応えのある生地。茶色の黒糖のほか、緑のよもぎ入りもあります。函館やその周辺出身の人が、地元を遠く離れても忘れられず、そういった人たちの口コミで、道内他地域や本州からの発送依頼も時折あるそうです。

塩味の餅に黒豆が入った「豆餅(手前)」は、黒豆の風味と塩味で餅の美味しさが引き立ちます。

どの餅菓子も昔ながらの製法で、時間がたつと固くなりますが、オーブンでかるく焼くと柔らかさがよみがえり、香ばしさも加わります。
(写真は餅の北屋)

そのほかお店で見つけたもの
20141030c03.jpg 20141029c05.jpg 20141030c12s.jpg
柔らかいだんごとあんやたれが口の中で溶け合う串団子(餅の北屋)/柔らかくもっちりと弾力のある生地、甘さ控えめの黒糖蒸しパン(市中屋)/小麦粉・砂糖・卵の生地にあんを挟んだ中花(ちゅうか)まんじゅう(餅の北屋)


◆もうひとつの人気商品、餅屋の「ご飯もの」

20141031c03.jpg
函館の餅屋の特徴は、甘いものだけでなく、いなり寿司、赤飯、細巻きなどご飯ものを売っている点で、これらもとても人気があります。

「市中屋」では、現在のご主人のお父さんの代以前には、パンやうどんも、業者から委託されて売ったり、夏にはかき氷も出していたそうです。餅屋は、地域の人たちのおなかを満たす身近な存在として根づいてきたのかもしれません。

「餅の北屋」のご主人によると、現在のお弁当屋やコンビニのような、気軽に立ち寄れる持ち帰りのご飯ものの店がほとんどなかった時代から、買い物帰りのお客さんや近所で働く人が、軽食や昼食用にと赤飯やいなり寿司を買っていったそうです。その姿は、今も変わらないといいます。

(弁慶力餅 三晃堂の人気商品、いなり寿司と細巻きのセット)


◆気さくな雰囲気、イートインスペースがある店も

20141031c06.jpg
市民の生活に溶け込んできた気さくな雰囲気が魅力の函館の餅屋。取材中にも餅菓子とご飯ものをまとめて買っていくお客さんの姿や、函館近郊出身の観光客が訪れて懐かしそうにベこ餅を注文する姿、地域の親子連れが立ち寄る姿、そんなお客さんたちを温かい笑顔で迎えるご主人たちが印象的でした。

限られたスペースですが、テーブルや椅子を用意して、その場で食べていくことができるお店もあります(下記の4店の中では、写真の弁慶力餅 三晃堂、餅の北屋、丸井栄餅)。

「餅の消費や個人商店での買い物の減少、後継者の問題など、餅屋を取り巻く環境は厳しい」という声もきかれますが、それでも、函館の餅屋は町にしっかり根づいてきました。観光で訪れた方々にも、餅屋に気軽に立ち寄って、庶民的な餅屋文化を感じてみていただきたいと思います。



【観光客でも行きやすいロケーションの、函館のお餅屋さん】(50音順)

20141029c04.jpg
谷地頭電停の目の前にある老舗の餅屋。大福、ベこ餅、串団子などの餅菓子や、すあま、きんつば、まんじゅうなども売っている。1日18個限定販売の黒糖蒸しパンも。
函館市谷地頭町26-11
0138-23-3027

20141031c04.jpg
JR函館駅近く。大福、ベこ餅、くるみ餅などの餅菓子や、細巻き、いなり寿司も人気。どら焼き、栗まんじゅう、ドーナツ、蒸しパンなど、懐かしい菓子の種類も豊富。店内にベンチあり。
函館市松風町4-11
0138-23-1709

hk59910X01.jpg
市電 「魚市場通」電停から 徒歩7分。1900年の創業時から味が受け継がれているべこ餅、豆大福、草餅が人気。赤飯も販売。店内にベンチがあり、購入してその場で食べることもできる。
函館市栄町5-13
0138-22-5482

20141030c04.jpg
市電「五稜郭公園前」電停前。大福、ベこ餅、豆餅、串団子などの餅菓子、小豆を大納言にこだわる赤飯、皮も手作りのいなり寿司、まんじゅう類も。小さなテーブル、椅子あり。
函館市本町25-12
0138-52-2212

※記者C 2014/10/29~31取材、11/20公開