函館市街地は路面電車やバス、ロープウェイなどの公共交通機関が充実していますが、目的地によっては、ちょっとした距離を歩いたり、乗り継ぎの時間が気になったりという場合があります。
そこで、自家用車やレンタカーを使って、気軽に函館市内の名所を回るプランをご紹介します。車なら坂道もらくらく、重い荷物を持って歩く必要もないので、快適にワイドな旅をすることができます。
函館ならではの交通事情にも気をつけながら、安全運転で楽しいドライブをどうぞ。
(マップはクリックすると拡大)
函館駅から30分、または函館空港から10分/無料駐車場あり
まずは、「これぞ北海道」ともいうべき、見晴らしのいい丘の上にある牛乳メーカー直営のショップ「函館牛乳あいす118」へ。空港からたった10分というところで、こんなにのどかな景色に出会えます。
市街地から離れた場所にあり、公共の交通機関の便がないので、車でないといけないスポットのひとつ。JR函館駅からなら、国道278号線(漁火通り)を通って函館空港方面へ。空港手前の交差点に案内看板が出ているので、斜め左に入ってまっすぐ進みます。
敷地内には育成牛の放牧場があり、間近で牛を見る事ができます。キャンピングカーを改造したショップでは、新鮮な牛乳を使ったソフトクリームをぜひ味わいたいもの。また、ジョッキで飲み放題の牛乳も人気があります。ショップ近くでは工場の見学や、牛とのふれあい(育成牛のえさやり体験、仔牛の哺乳体験)も楽しめます。入場無料。
函館牛乳あいす118から20分/市営・市民の森駐車場利用(200円)

北海道気分を満喫したら、次は歴史あるトラピスチヌ修道院へ向かいましょう。函館駅からは1日6便のシャトルバスが運行していますが、市電「湯の川」電停から歩くには30分以上かかるので、車が便利。こちらは湯の川エリアの高台にあり、「函館牛乳あいす118」からは、函館牛乳の工場そばの農免道路を走り、道道83号線を経由して向かいます。
トラピスチヌ修道院は1898(明治31)年に創立され、現在の聖堂は1927年に再建されました。聖堂を間近に見られる前庭や、院内での生活、修道院の歴史などが紹介されている資料室の見学ができます。売店もあり、生計を立てる収益事業として製造するマダレナケーキなどは、修道院を訪れた際のみやげものとして人気があります。
駐車場は三角屋根の建物が目印の「市民の森駐車場」のほか、民間の駐車場あります。
トラピスチヌ修道院から20分/無料駐車場あり

次は、同じ湯の川エリアの高台にある見晴公園に立ち寄りましょう。湯の川から路線バスも通っていますが、やはり車が便利なところです。トラピスチヌ修道院からは、道道83号線を湯の川方面に向かい、セイコーマート函館戸倉店近くの交差点を右折し、坂道を上ります。戸倉中学校近くの交差点を右折し、函館ゴルフ倶楽部の看板を目印に走ると見晴公園の駐車場に着きます。
見晴公園・旧岩船氏庭園(香雪園)は1898(明治31)年ごろから造成された本格的な風景式庭園で、園内にはレンガ造りの温室や、茶室様式を取り入れた書院造りの園亭など見どころが多く、地元住民に憩いの空間として親しまれています。
とくに秋の紅葉は素晴らしく、春は桜、夏は緑、冬は雪景色と、四季を通じて魅力的です。最近は、北海道の人気演劇グループTEAM NACSがテレビ番組で紹介したことでも有名に。彼らが乗ったブランコは、駐車場からカエデ並木を左に見て進んだ芝生広場にあります。
見晴公園から車で約20分/道立函館美術館・函館市芸術ホール・北洋資料館駐車場利用(1時間200円、以降30分毎に100円)

湯の川エリアを後にして、次は五稜郭方面へ向かいます。五稜郭公園は市電電停から歩くと15分ほどの距離ですが、車なら徒歩3、4分の駐車場が利用できます。見晴公園からは、市電「湯の川」電停に出て線路に沿って走り、「柏木町」電停を過ぎると左手にガソリンスタンドが見えてくるので、その交差点を右折します。
五稜郭跡は、明治維新前後に起こった戊辰戦争の最後の戦いである箱館戦争の舞台で、現在は国の特別史跡に指定されています。郭内には箱館奉行所が復元・公開されていて、150年の歴史を感じることができます。
隣接する五稜郭タワーの展望台からは、五稜郭の四季折々の風景をはじめ、市内を一望できる360度の大パノラマが。また、五稜郭築造、箱館戦争に関する展示資料も充実しています。(俯瞰画像提供/五稜郭タワー)
五稜郭跡から15分/通行無料

五稜郭見学を終えて、次は函館山のふもとに広がる西部地区へ。車で移動するときにぜひ通ってほしいのが「ともえ大橋」です。ベイエリアを縦断する全長1924メートルの臨港道路で、まるで海の上を走っているかのような高架が続きます。(写真は歩道から撮影)
五稜郭方面から西部地区に向かう際には、正面に函館山、左手にJR函館駅、右手に旧青函連絡船摩周丸や港などをとらえながら、快適にドライブできます。橋を下りるとベイエリアはすぐそば。そのまま金森赤レンガ倉庫群や七財橋を走ると、港町・函館らしさを満喫できます。
ベイエリアは日中は歩行者も多いので、道路を横断する人に充分気をつけて通行しましょう。
ともえ大橋から10分/駐車場なし
ともえ大橋を渡って、ベイエリアの金森赤レンガ倉庫群を抜けたら、市電「函館どつく前」電停から坂道を上って、外国人墓地へ向かいましょう。こちらも電停から歩くと10分以上かかるので、車が便利なところです。
幕末の1854年、ペリー提督が来航したときに2人の水兵を葬ったことに始まる外国人墓地は、海を見おろす高台に面しており、漁船や貨物船などが航行する函館湾が眺められる景勝ポイントでもあります。
なお、外国人墓地周辺には駐車場がないのでご注意ください。

外国人墓地から15分/無料駐車場あり

外国人墓地から眺める海もいいものですが、函館山の反対側、南東に突き出ている立待岬からの景色もぜひ見てほしいところ。市電「谷地頭」電停に向かって車を走らせると、案内標識が数か所出ていますので、そちらに沿って進みましょう。岬の手前は細くて急な上り坂になっています。
大森浜から湯の川温泉街へと通じる海岸線と、広々とした津軽海峡を一望できる絶景ポイントで、かつて、北方警備のために異国船の往来を監視する台場が築かれたこともありました。切り立った岩を間近で見るには、海岸へと下りていく遊歩道が設けられています。
なお、岬への上り坂の途中には
石川啄木一族の墓が、海岸への遊歩道手前には与謝野寛・晶子の歌碑が建てられています。立待岬への道路は、20時~翌朝6時の間は通行止めとなります。
立待岬から20分/無料駐車場あり(登山規制の時間帯は駐車不可)

函館山山頂へはロープウェイや路線バス以外に、車でも行くことができます。渋滞防止のために、一般車は17~22時は通行できませんが、それ以前と以降は自由に通行可能です。
立待岬からは函館八幡宮下を通り、青柳町・函館公園を右に見ながら一方通行の道路を走ります。ロープウェイ山麓駅手前、護国神社そばに登山道に向かう道があります。途中、高低差があり、急カーブの箇所も多いので、スピードを出さずに進みましょう。
山頂駐車場に車を停めて、展望台へ。函館市とその近郊を一望でき、開放感満点の絶景を楽しめます。また、日中でも、日によっては冷たい風が吹くこともありますので、1枚羽織るものを持参してのお出かけをおすすめします。
17時になると通行規制が始まり、山頂は一般車の駐車ができなくなるので、名残惜しいですが、その時間をめどに下山しましょう。
いかがでしょうか。ゆっくりドライブすると、約5~6時間で函館市内の主な名所をぐるっと回れますので、たとえば、お昼前後に函館に到着して、宿泊施設にチェックインする前にドライブを......というときにもピッタリです。どうぞ安全運転でお楽しみください。

【函館市内を運転する際に知っておきたいこと】
●信号にある黄色の矢印や赤色の×印は「路面電車専用信号機」
函館市内を走っていると見かける、路面電車専用の信号機。信号が赤で黄色の矢印が出ているとき、車は進めません。信号が青で赤色の×印が出ているとき、車は進めます。
●多叉路(たさろ)が多い函館市内
函館市内、特に特別史跡五稜郭跡周辺は、5本以上の道路が集まる交差点(多叉路)が多く、慣れていないと戸惑うことがあります。他の車の動きに注意しながら進みましょう。
●元町散策は、
元町観光駐車場を利用(1時間200円、以降30分毎に100円)
異国情緒を感じさせる街並みの残る元町エリアは、駐車場がない施設がほとんど。教会群や八幡坂、旧函館区公会堂の見学は、観光駐車場に車を停めて徒歩でどうぞ。
※記者TT 2015/4/15~5/25取材、6/11公開 一部写真撮影/編集室M