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函館の海の幸図鑑 冬~春編

日本海からの暖流と、太平洋からの寒流が混流する津軽海峡に面した函館は、かつて北前船の寄港地、北洋漁業の母船基地として栄えた港町。2004(平成16)年には、東海岸の南茅部(みなみかやべ)、椴法華(とどほっけ)、恵山、戸井と合併し、海岸線は約120kmにまで延びて、さらに豊富な資源に恵まれる海の町となりました。函館で冬~春に獲れる海の幸をご紹介しましょう。

 

101001sea-takoK01.jpg◆タコ(10~5月)
函館市の魚・イカと同じ軟体動物に属するタコは、甘さのある旨味とプリプリとした食感がたまらない。イカ同様に、刺し身をはじめ、煮物や唐揚げ、酢物など、食べ方は多種多様。主に恵山地区ではタコ箱漁で「ヤナギダコ」、戸井地区では疑似餌を使った玉流しイサリ漁で「ミズダコ」をそれぞれ水揚げしている。ヤナギダコに比べて大型のミズダコは、体長3m、重さ40kgを超えるものもあり、名前のごとく、水っぽい肉質だが、海水温が下がるにつれて、身が引き締まってくるそう。薄くスライスした身をしゃぶしゃぶで食べるという、新たな食文化も当地では有名。

 
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◆ウニ(12~6月)
たくさんの針のようなとげに覆われた殻を開けると現れる、色鮮やかな身はクリーミーな食感がくせになってしまう。俗に身と呼ばれる部分は卵巣で、殻内での入り具合を判断して漁獲するため、各海域の気候風土によって旬が異なる。函館近海では秋から冬を漁期にする地域が多く、長い柄の先端に取り付けたたも網や、数本の細い鉄からなる「やす」・「はさみ」といった漁具を用いたり、ダイバーによる潜水器漁業などで水揚げされる。

とげが長く黒っぽい見た目の「キタムラサキウニ」と、とげが短く殻の薄い褐色の「バフンウニ」があり、「キタムラサキウニ」の身は白っぽく大きいのに対し、「バフンウニ」は赤っぽくて甘みが強いのが特徴。刺し身で味わうのが絶品だが、どうしても生ものが苦手という人には、卵とじや吸い物がおすすめ。


101001sea-nebokkeK01.jpg◆根ボッケ(1~5月)
大衆魚として地元の家庭ではたびたび食卓に上がり、観光客からも人気の高い、北海道を代表する海産物のひとつ。通年魚で、漁法は定置網や巻き網、延縄などさまざま。魚へんに花と書いて"ほっけ"と読むのは、群れで泳ぐ姿が花の咲いているように見えるのが語源とされる。ホッケは元来回遊する魚種だが、動き回るのをやめて岩礁に住みついたものを「根付(つけ・つき)ホッケ」または「根ボッケ」と呼ぶ。

恵山地域では刺し網漁で根付ホッケをとらえる。網を海中に投入してから2、3時間で水揚げしてすぐに氷水へ漬けるため、刺し身として味わえるほど新鮮で、手で持つと身が垂れずにピンと立つことから、「海峡根ぼっけバキバキ」の名称でブランド化されている。


101001sea-masuK01.jpg◆マス(1~5月)
秋から漁獲されてきたサケが一段落すると、ピンクがかったオレンジ色の鮮やかな身の魚は、マスへと出番を変える。クリーミーな味わいが特徴的で、ホイル焼きやムニエルなどとして味わうことが多い。見た目にサケとよく似たマスだが、両者の学術的な区分は明確なものがない。英語では、海に下るものを「サーモン」、川や湖などの淡水で一生を過ごす「トラウト」として使い分けている。函館で別名の本マスとして市販されているサクラマスは、

厳しい冬にさらされる北海道民にとって、待ち遠しい春の到来を予感させてくれる存在と言える。ちなみに、サクラマスとならずに川にとどまるのが、ヤマメ。

◆ヒラメ・カレイ(1~6月)
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腹ばいに泳ぐ扁平な体型から、水産業界では平物(ひらもの)と呼ばれる両者の一般的な見分け方は、左上を向くのがヒラメ(写真上)で、右上を向くのがカレイ。そして、イワシ・アジなどの小魚やエビを主食とするために歯が鋭いヒラメに対し、カレイはイソメやゴカイといった虫を摂食するため、おちょぼ口といった違いがある。
刺し身や寿司ネタに欠かせない高級魚のヒラメだが、それと質の高さでは遜色のないカレイの「マツカワ」(写真下)。名前の由来は、表面の鱗が硬く、ザラザラとしており、松の木の表皮に似ていることから、「松の皮」=マツカワと呼ばれるようになった。一時期は水揚げ量が激減し、幻の魚とも呼ばれた。最近では、人工飼育により資源が少しずつ回復し、カレイの王様を意味する「王蝶」というブランドネームが定着しつつある。体長は70cmを超えるものもある。カレイではこのほか、3-4月頃に産卵期のババガレイは卵巣が成熟する冬場が煮付けに打ってつけで、小型のカレイは焼き物やフライなどとしておいしさを味わえる。


110326deepT13.jpg◆ドンコ(1~6月)
標準和名は「エゾイソアイナメ」で、海中での動きの鈍さから、「鈍子(ドンコ)」と呼ばれるようになったそう。紫がかった褐色の体色、ぼてっとした腹、体の割に小さい尾と、不格好な見た目から敬遠されがちだが、東北・三陸地方では鍋や汁物の具材として珍重されている。

寒さとともに11月下旬から2月にかけて脂乗りが増し、表面の細かいうろこを取り除きさえすれば、皮つきで口にできる。身は水分が多いため、一度干してから調理すると身崩れを防げ、昆布締めの刺し身や、フライ、煮付けなどにすると美味。特に肝が肥大する1~2月が食べ頃で、みそやネギと合わせて、ちゃんちゃん焼きやホイル焼きとして食べるのが醍醐味。
取材・記事:事務局(30代男性 函館市在住)

2010年10月更新