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函館山のふもとに響く、教会の鐘を聴きたい

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「異国情緒漂う街」といわれる函館。函館山のふもと・西部地区には教会や洋風建築が点在し、ときに荘厳な教会の鐘の音が響きわたります。「教会の鐘はいつどこで聴けるの?」という声におこたえして、函館を代表する2つの教会の鐘について、街歩きの達人が取材しました。鐘の音を聞きながら、ぜいたくな元町散策気分をお楽しみください。
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(函館山登山道2合目より。手前が函館ハリストス正教会、中央がカトリック元町教会)
 
◆函館ハリストス正教会の鐘の音
 
 
6つの鐘が奏でる特徴ある旋律のダイジェスト版。教会外観の美しい映像も合わせてお楽しみいただけます。
 
 
こちらは、鐘楼の中で特別に撮影させてもらった、6分を超えるフルバージョン。鐘をつくのは、神父と信者の数名が当番制で。両手と右足を巧みに使って旋律を奏でる様子を、じっくりご覧ください。
 
◆ガンガン寺と呼ばれるハリストス正教会
 
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日本初のロシア正教会である函館ハリストス正教会は、函館市民から「ガンガン寺」と呼ばれ、親しまれています。幕末の開港とともに函館にやってきたロシア人により、明治期以前より教会が建てられ、大小いくつもの鐘を備えた鐘塔から、仏教寺院とはひと味違った鐘の音を、街なかに届けることになりました。
 
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函館ハリストス正教会は、函館港から函館山に向かう坂道を上がった、街を見下ろす高台に位置します。現在の聖堂は1915(大正5)年に建造されたもの。美しい緑に囲まれ、函館山の迫力ある姿を背後に望むことができる場所です。
 
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鐘楼では、直径94センチ、重さ500キロの大鐘と、5つの小さな鐘が打ち鳴らされます。両手と右足を使い、鐘の舌(ぜつ)に結ばれたひもを巧みに操り、独特の旋律を奏でます。
 
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鐘が鳴らされるのは、祈祷や祭礼など、次のような時です。
・毎週日曜日の祈り(午前10時から) 鐘は、始まりの9時55分ごろ、途中10時30分ごろ、終わりの11時30分ごろの3回(途中と終わりは前後する場合があり)
・土曜夕方からの祈り(休止の場合あり) 鐘は16時55分ごろ
・復活祭(イースター)をはじめとする様々な祭礼
詳しくは、教会の「今月の奉事・行事予定」を参考にしてください。
 
なお、2020年から3年をかけて大規模工事が実施され、屋根・外壁が新しくなりました。このページの写真は修復前のものです。
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◆荘厳な鐘の音が響きわたる、カトリック元町教会
 
 
カトリック元町教会の鐘の音を収録した動画。毎日決まった時刻に打ち鳴らされます。教会外観の映像も合わせてどうぞ。
 
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カトリック元町教会は、ハリストス正教会の北側、港が丘通りをはさんで、向かい合った場所に建ち、大三坂に正門を構えます。幼稚園や乳児院が併設され、正門と反対側は八幡坂と接するほどの広い敷地。カトリック教会では北海道内最古ですが、大火で3度焼失し、現在の建物は1924(大正14)年に完成したものです。グレーの外壁に真っ赤な屋根、そびえる鐘楼は、ハリストス正教会とともに函館観光のシンボルといえます。
 
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鐘は高さ約30メートルの鐘楼の中にあり、普段は目にすることができませんが、毎日定時に電動の機械仕掛けで打ち鳴らされます。最初はゴーン、ゴーン、ゴーンとゆっくり3つ。これを3回繰り返したあと、連打に。この旋律はアンジェラスと呼ばれるもので、荘厳な鐘の音色が街に響きわたります。
 
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カトリック元町教会の鐘の音が聴けるチャンスは以下のとおり。
・毎日6時30分、12時、18時の3回
・日曜日のミサ(鐘の鳴動は10時30分ごろ、時間変更の場合あり)
・各種の祭礼時
なお、復活祭(3~5月ごろで日程変動)前の1週間は、定時の鐘は止められます。
 
◆鐘をゆっくり聴けるおすすめスポット
 
【ハリストス正教会の敷地内】
 
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ハリストス正教会聖堂の周りにはいくつものベンチが置かれ、散策を楽しむ人の休息の場所に。ミサの際には、賛美歌や祈祷の鈴の音なども聞こえてきます。
 
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敷地内の北側には芝生の広場があり、ベンチとテーブルが置かれています。ここからは眼下に市街地のパノラマが広がり、向かいのカトリック元町教会を撮影する絶好のスポットでもあります。
 
【大三坂沿いのベンチ】
 
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カトリック元町教会正門前の大三坂には、手頃なベンチがいくつかあります。ひとつは緑色の擬洋風建築が目印の「手作りソフト大三坂」のベンチ。おいしいソフトクリームを味わいながら、鐘の音が楽しめます。
 
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さらに、すぐ下にある函館出身の文学者・亀井勝一郎生誕の地碑前にもベンチがあります。きつい傾斜の坂道に合わせて作られ、快適な座り心地です。大三坂と港が丘通りの交差する場所には、異なる4つの宗教・宗派の教会や寺院が建ち並び、亀井は「世界中の宗教が私の家を中心に集まっていたようなもの」と書き残しています。
 
【函館山登山道の2合目】
 
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函館山の中腹は、鐘の音を聴く穴場です。山頂に向かって車両用登山道を進むと、右手に街が開けて見える「2合目」と呼ばれる場所があり、徒歩でも行けます。登山道の途中の、杉の大木のある横断歩道から約400メートル山頂方向に進んだところ。ここで耳を澄ませば、街の音を感じ、鳥や虫の声も一緒に聴くことができます。
 
【元町配水場のビュースポット】
 
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函館山ロープウェイ山麓駅向かい、元町配水場に設けられたビュースポットもおすすめの場所。市街地を見渡せる展望台とベンチが完備して、教会からもほど近いところです。函館山が雲で隠れている時でも、広々と街を見わたせます。
 
【八幡坂】
 
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正午の鐘の音を聴くのなら、八幡坂が断然おすすめ。近くのカトリック元町教会の鐘の音と同時に、坂の正面に見える青函連絡船記念館摩周丸が汽笛を響かせます。摩周丸の汽笛が鳴らされるのは、毎日12時と17時の2回。
 
2020/6/25公開

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