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3)金融と官庁の町並み

函館県庁から税関に至る御役所坂(現在の基坂)には、病院・警察・郵便局などの公共機関が建ち並び、直交する大通り(現在の市電通り)には多数の銀行や商店が進出した。この時期、金森洋物店に代表される煉瓦・漆喰を使用した土蔵造りなどの耐火建築が多く見られるようになった。市内を縦貫する多数の電信柱は、明治8年に東京との間に開通した電信が基坂下の電信局まで届いていることを示している。

明治時代 現在

四十四銀行

16四十四銀行
現在:東坂

明治12年、東京第四十四国立銀行が函館に支店を設置。同15年業務不振のため、東京第三国立銀行と合併することとなり、本道における営業は第三国立銀行が継承することになった。

電信局

17電信局
現在:基坂

明治2年、東京・横浜間に開通した電信は、青函の海底線敷設によって同8年には東京-北海道間が開通した。市内を縦貫して電信柱が設置されたが、その終端は当時の函館の公的機関が集中していた基坂下に同14年設置された電信局に届いている。

郵便局

18郵便局
現在:元町観光駐車場

明治5年設立。同12年の大火で庁舎が類焼、一時恵比須町の仮庁舎で営業の後、同13年末広町の基坂下の電信局の向いに新築移転した。同44年、豊川町に赤レンガの中央郵便局(現・明治館)が完工し移転。現在は函館市元町観光駐車場。

三井銀行

19三井銀行
現在:北方民族資料館(旧日本銀行函館支店)

明治4年、御用為替座三井組の名で函館に店を設置。その後三井銀行の支店となった。同26年末広町に移転後は日本銀行函館支店が入った。同44年に辰野金吾らによる西洋風建築が竣工した。その後2度の火災を経て、現在の建物は大正15年新築落成。昭和63年支店の移転に伴って函館市が建物を継承し、北方民族資料館としてアイヌ民族や北方民族の衣装、生活用品を展示している。

金森洋物店

20金森洋物店
現在:郷土資料館

明治11・12年大火後の明治13年、豪商・渡辺熊四郎が舶来品を扱う店舗として創建。煉瓦積み漆喰仕上げ、窓も土塗とした。同40年大火でも類焼しなかったことで、その耐火性能を実証。明治初期の建築で今日まで残る数少ない存在。昭和44年から函館博物館郷土資料館。その後、大規模改修で創建当時に近い姿に復元。平成12年から再オープンし、明治時代の函館のハイカラ文化を今に伝えている。

百十三銀行

21百十三銀行
現在:SEC末広ビル

明治12年、会所町に北海道最初の国立銀行として設立。八幡坂下で営業を開始。同40年大火後には東浜町に移転、大正11年函館銀行と合併後に筋向い(現在のSEC電算センタービル)に本店を新築移転。移転後の跡地には同15年、函館貯蓄銀行が建ち、現在はSEC末広ビルとなっている。銀行時代の意匠が正面入り口付近の柱などに残る。

百四十九銀行

22百四十九銀行
現在:旧ホテルニューハコダテ

明治13年、旧島原藩主(松平家)が中心となって函館で開業。同18年に破たんし、百十九銀行(東京)と合併の上、三菱合資会社に営業譲渡、現在の東京三菱UFJ銀行の前身となる。跡地には昭和7年、安田銀行(後の富士銀行)が建った。同43年に改修され、ホテルニューハコダテとして開業。平成22年に営業終了。

新聞社

23新聞社 (北溟社)

明治11年、北溟社(ほくめいしゃ)が設立され、函館新聞が創刊された。同社は明治12年大火後富岡町(函館病院下)に移転、同31年に函館毎日新聞と改称。大正9年鶴岡町に移転、昭和12年に休刊した。

警察署

24警察署

函館警察署は明治10年に創設、同11年会所町に庁舎を新築したが、同12年大火で焼失。明治14年、富岡町(当時の函館病院のすぐ下)に新築移転した。同17年に鶴岡町に再度移転。

第二公立病院

25第二公立病院 (函館病院)
現在:観光バス駐車場(ペリー広場

文久元(1861)年設立の箱館医学所が起源。姿見坂上から船見町へと移り、明治11・12年の大火で焼失したが、明治13年基坂中腹に移転、陣容を整えた。その後も大火で何度も焼失・再建を繰り返したが、一貫して市内最大の公立病院として存続。平成12年、港町に新病院を開設・移転。移転後の空き地は現在観光バス駐車場として利用。ペリー提督の函館来航150周年を記念し、平成14年敷地内の一角に銅像が設置された。

天神学校

26天神学校 (弥生学校)
現在:弥生小学校

明治11・12年の大火で函館山のふもとの3つの小学校(松蔭・常盤・内澗)が焼失したため、同15年統合校として天神町に小学校を新築。当初は天神学校とされたが、完成後に隣接の坂の名を冠して弥生学校とした。昭和9年の大火で焼失後、鉄筋コンクリート造りの耐火建築で再建。老朽化のため平成22年に解体、同24年に旧校舎の外観を模した弥生小学校新校舎が竣工した。

金庫

27金庫 (開拓使函館支庁金庫)

明治10年頃、開拓使函館支庁の金庫として、支庁舎の真向かい(現在の観光バス駐車場の一角)に建てられたレンガ造りの金庫。

函館県庁

28函館県庁
現在:写真歴史館(旧函館支庁庁舎)

基坂上の旧箱館奉行所の跡地に、明治13年開拓使函館区役所が置かれ、同15年開拓使廃止とともに函館県庁が置かれる。当時の北海道は3県制(函館・札幌・根室)。その後、明治42年函館支庁庁舎が新築・竣工。古代ギリシャのコリント様式にならった柱が特徴。平成3年火災で内部を焼損したが同6年に修復。現在は観光案内所、写真歴史館として活用されている。

開拓使書籍庫

29開拓使書籍庫
現在:旧開拓使函館支庁書籍庫

元町公園内の旧支庁舎に隣接する赤レンガの建物は、明治13年築の開拓使書籍庫。同40年大火でも類焼を免れて現存する、西部地区でも稀有な存在。使用されているレンガは茂辺地(現北斗市)の開拓使経営の工場産。煉瓦の積み方にイギリス積みとフランス積みが混在しているのも珍しい。