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古い建物を利用した素敵カフェ
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函館の街並みを眺めながらゆっくりと歩き、ちょっと疲れたらカフェでひとやすみ。そんなとき、歴史を見つめてきた古い建物で、お茶を飲んでくつろげるところが、函館には何軒もあります。

まるで時が止まったような、おだやかな空間。先を急ぐ旅ではなく、その空気の中に身を置いて古きよき時代に思いを馳せるのも、素敵な旅の楽しみ方です。


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再活用という函館の文化

函館の西部地区を歩くと、まるで当然のように再活用された古い建物を見ることができます。元銀行が資料館になったり、IT企業になったり。古民家が料理店になったり、元商店がアトリエになったりと、多種多様の目的のために、建築時の用途とは異なる使われ方がされています。

本州などでは、代々受け継がれた商売などの店舗が、現在でも健在であるのを見掛けますが、函館の場合、ずっと眠っていた倉庫が新しい店として目覚めたりして、市民から見ても驚きを隠せないこともしばしば。それらは明治から大正・昭和初期に建築されたものが、一度使命を終えて眠っていたものばかりでした。


それはベイエリアから始まった

昭和52年(1977年)、大正6年に建築された旧特定郵便局をカフェとして活用した「カリフォルニアベイビー」のオープンから、函館独特の再活用文化が一気に花開きました。その後、旧函館郵便局を利用した現「明治館」や、倉庫を飲食店やショッピングモールに転用した「金森赤レンガ倉庫群」など、観光拠点となる施設も生まれました。

カフェでは、石川啄木の妻が通ったと言われている質店の「ひし伊」、旧堤商会(ニチロの前身)の「佐藤商会(ロマンティコ ロマンティカ他が入居)」、旧函館検疫所をほとんどそのまま利用した「ティーショップ夕日」、海産商の店舗をリノベーションした「旧茶屋亭」などがあります。驚きなのが、旧イギリス領事館という昔の外交用施設の中で、ローズガーデンを眺めながらお茶が飲める「ヴィクトリアンローズ」でしょう。

この他にも例を挙げるときりがないほど、函館には再活用によって新たな建物としての命を与えられたものが多くあります。それらは、古い建物がそこにあるのは当り前と思える、函館のちょっとぜいたくともいえる文化が影響していると考えられます。


カップを手に持ち、歴史を感じてみよう

古い建物を利用したカフェに入ると、ふだん函館で暮らしている市民であっても、なぜか時間がゆっくり流れるように感じてしまいます。日々の仕事や生活の喧騒から切り離された空間に、ワープしたような感覚になるのです。

そこには現代の建築では真似のできない、明治や大正の時代だからできた「粋な遊び」をたくさん見ることができます。そして、コーヒーカップを手に持ち、ひとつひとつの部材を眺めると、古い建物だけしか持っていない、長い時間というものが染み込んでいるのを感じ取ることができます。

当時はこんなに時間がたおやかに流れていたのだろうか?
カフェで過ごす時は洋服を着ていたのだろうか?
当時いた外交官や外国商人との交流を、このような場所で行っていたのだろうか?
このような場所で、歴史に残るような重要な会話がなされたのであろうか?
建物の中での日常生活はどんなものだったのだろうか?
色々なことが想像できます。そして、それは見たことのない、開港で大きく変わった街の過去への旅へと導いてくれます。
 
※記者J 2011/5/6公開、2018/10/26更新
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重厚な蔵の中に和の佇まいがゆらめく、ひし伊

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大正時代の木造3階建の1階、ロマンティコ ロマンティカ

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ティーショップ夕日、明治の検疫官はここで何を思った...

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上質な建物は上質な味わいを生む、旧茶屋亭

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イギリス政府工務省設計の洗練された旧英国領事館



時間がゆったりと流れる古い建物のカフェ