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市電ファン興奮!駒場車庫ガイド

110403X01.jpg函館を訪れる観光客の皆さんの足であり、絶好の被写体でもある「函館市電」。その運行の中枢である「駒場車庫」は、自動車でいえば駐車場と整備工場の機能を兼ね備えた施設で、函館市電ファンにとっては憧れの聖地といえます。

例年7月に行われる「路面電車感謝祭」を除き、原則として一般公開は行われていませんが、正面の歩道から外観を眺めることができます。職員の調整がつけば見学できる場合もありますが、必ず事前に問い合わせを(記事の最後参照)。

それでは、駒場車庫のレポートをお届けします。


カラフルな車両がずらり勢ぞろい
車庫の前の歩道から見ると、留置線には様々な電車が並んでいるのが見えます。
2011年4月現在、函館では11形式36両(うち2形式5両は非営業用、1両は貸切専用)の市電が走っていますが、そのうちの9割には1両ごとに異なる車体広告が施されています。以前は味のある塗装による車体広告が多かったのですが、現在では「ラッピングフィルム」を張り付ける方式で仕立てるようになり、もしかすると車体広告を張り替えている所に遭遇できるかもしれません。
ここで、現在在籍する営業用電車を紹介しましょう。

●箱館ハイカラ號(39号)1両

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例年4月から10月末まで運行される「箱館ハイカラ號」。冬季や、点検などで運行のない日は1・2番線に留置されています。元々千葉県成田市の会社が明治43年に導入した車両を、大正7年に函館で購入し、39号として昭和12年まで運行。ササラ電車への改造を経て平成5年に復元された車両です。
 
●500型 1両

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上半部マンチュアサンドライト、下半部マジュルカブルーという渋い旧塗装を纏った昭和25年製の530号。鉄道ファンの皆さんが市電を借り切る際に指名するほか、映画やドラマの撮影にも引っ張りだこ。営業運転に出る率は非常に少ないですが、冬場の早朝~日中に運行されるパターンが多いようです。

●710型 9両/800型 3両

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制御方式は違いますが、外観や性能はほぼ同じ。811号は製造当時の函館市電の標準色(通称・笹色ツートン)に復元され、現在は車体側面に広告が施されています。
 
●8000型 8両/8100型 1両

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800型の台車や機器類を流用した車体更新車。8100型は、車いすでも乗り降りしやすいように改造された「部分低床電車」で、バリアフリー化への試みを語るうえで欠かせない車両。

●2000型 2両/3000型 4両

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VVVFインバータ制御とシングルアームパンタグラフを装備。3000型は函館市電初の冷房車。
 
●らっくる号(9600型)2両

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2007年から運行を開始した、11年ぶりに導入された新車。入り口から出口まで段差のないバリアフリー仕様の完全低床車(冷房付き)であり、函館市電初の2連接車。


個性的な車両もあります
このほか、営業用電車としての役割を終えた車両や、一般の方が乗車することのできない事業用電車も目にすることができます。特に注目なのは、昭和9年以来手入れをされながら使用されている木造の1・2番線。明治から昭和初期に製造された車両を、間近で観察することが出来ます。

●花電車(装型または花型)3両

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8月初旬の「函館港まつり」に合わせて運行される、函館の夏を彩る花電車。昭和9年の函館大火の教訓を踏まえて内装以外を鋼製に改め、地元の函館船渠(現在の函館どっく)で製造され、「鋼鉄車」の愛称で函館市民に親しまれた300型を、昭和45年に車体の上部構造物を取り払い、装飾を施すなどの大改造を行った車両です。
 
●ササラ電車(排型または雪型)2両

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明治30年代に造られた「東京市電新1型ヨヘロ」を、昭和9年の函館大火後に譲り受けた200型(2代目)を昭和12年に改造し、冬の函館市電の運行を支える除雪車として活躍中。客室だった車内にはササラを回転させるためのモーター等が設置されていますが、排4号の天井には東京市電時代の壁紙が今も残されています。

●AMUSEMENT TRAM 1両

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車内に取り外し可能な大型テーブル、カラオケ装置、冷蔵庫、流し台などを設置した、貸切専用カラオケ電車(2代目)。平成8年に改造されましたが、元々は昭和24年製の505号で、昭和63年に国鉄五稜郭車両所で車体更新が行われた際に車番を501号(2代目)に改めたという、珍しい経歴の持ち主。
 
●1006号 1両

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2010年3月31日に引退した元東京都電7000形の1006号が、現在も外留置線の一番奥に保管されています。前面窓こそ変わってしまったものの、7000形のオリジナルの車体を今に伝える貴重な車両です。


点検や整備の現場も見られます
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車庫の中では安全運行に欠かせない保守管理が毎日休みなく行われています。毎朝の「始業検査」、3日ごとにブレーキ関係のチェックを行う「3日点検」、1か月ごとにパンタグラフなどの目視点検を行う「月検査」、4年ごとの「重要部検査」、8年ごとの「全般検査」が行われています。

台車用のトラバサーを挟んだ車庫の奥は、機器類の整備や修繕等が行われる作業場のほか、車体を塗装・修繕するエリア、電気系統の部品を点検・修繕する為の作業場や設備が完備されており、見学時には整備の様子を間近で見ることが出来ます。


模擬運転台で、市電の運転体験も可能
函館市電の乗務員養成はすべて自前で行われています。車庫内には国土交通大臣指定の「電車乗務員養成所」が設けられており、教習所実験室に設置された「模擬運転台」では、見学者も業務に差し支えないかぎり、操作を体験させてもらえます。
模擬とはいえ、マスターコントローラー(※車で言えばアクセル)やブレーキ弁、圧力計等は実際に使用されていたものがそのまま使われており、台車も実際に使用されていたアメリカ製のブリル21E型。マスコンを回せばモーターとギヤを介して車輪が実際に回り、ブレーキを操作するとブレーキシリンダーが加圧されると同時にブレーキシューが車輪の踏面に押し当てられ、制動がかかる様子を観察できます。

また、教習所実験室の中には、実際に使われていた系統板や記念乗車券のほか、各種の部品、モーター、集電装置、停留所の行燈、レール、マスコン、ブレーキ弁などが、教材として展示されています。中には、函館市電のルーツである函館水電時代の資料もあります。

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函館市電グッズも好評発売中
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駒場乗車券売所では、各種函館市電グッズが販売されています。

文字盤にササラ電車の写真が入った懐中時計(完全受注生産)、函館市電の走行風景を納めたDVD、廃止された路線の車内放送をマスターテープから収録したCDのほか、箱館ハイカラ號の車内放送を収録したCD、箱館ハイカラ號を模したパッケージに入ったクッキーも販売されています。近くまで来たときには是非ともお立ち寄りを。

⇒販売アイテム詳細はこちら


見学可能かどうかは、必ず1週間前までに事前確認を!
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駒場車庫の見学は、原則10名以上の団体にかぎって受け付けています(30名以上は要相談)。見学希望の場合は、必ず1週間前までに問い合わせてください。平日のみの対応で、案内する職員の調整がつかない場合は、平日でも見学できないことがあります。

お問い合わせは、函館市企業局交通部事業課営業・広報担当(eメールkoutsu@city.hakodate.hokkaido.jp 電話0138-32-1730)へ。見学予定日と人数をお知らせのうえ、ご確認ください。

見学の際には、車庫内にはレールを含めて多くの段差やピット、床には油や工具等があるので、足元に充分注意を。見学者用の駐車スペースはないので、市電やバスなどの公共交通機関を利用のこと。
 
※記者X 2011/4/2記事作成

函館市企業局交通部 駒場車庫
函館市駒場町15-1
0138-52-1273