福を呼ぶ街歩き、函館山七福神巡り
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(厳島神社)

お正月になると、開運招福を願う風習が全国各地で行われます。なかでも、幸せを願う習慣として根強い人気があるのが七福神巡り。恵比寿、福禄寿、弁財天などの名前は、いかにも縁起がよさそうですね。函館にも、函館山のふもとにある七福神を祀る神社や寺を参拝しながら歩く「函館山七福神巡り」があります。坂の多い函館らしい散策コースを、普段まちあるきガイドをしている記者がご案内しましょう。


◆七福神巡りの楽しみ

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(船魂神社)
七福神巡りは、元旦から7日までの間(もしくは15日まで)にお参りして歩くもので、室町時代に京都で始まったといわれています。やがて全国各地に広がり、江戸時代には庶民の風習として大流行しました。また明治時代になると、東京の向島では、幕末の箱館に縁が深かった榎本武揚や栗本鋤雲ら著名人を巻き込んで隅田川七福会が結成され、現在のひと巡りコースが作りあげられたとのことです。

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(称名寺)
このように歴史ある七福神巡りですが、訪ねる順番は一般的には決められていません。自分の好みの順に回れるほか、徒歩だけでなく、車や公共交通機関を使いながらも回れます。途中でその土地の名物などを味わいながら、自由気ままに歩けるのも七福神巡りの楽しみのひとつといえます。


◆七福神のご紹介

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(天祐寺)
七福神とは、弁財天・毘沙門天・大黒天・福寿禄・恵比須・布袋尊・寿老神という、七神のことをいいます。日本古来の神様は恵比須のみで、弁財天・毘沙門天・大黒天はインドの神様、福禄寿・布袋尊・寿老神は中国の神様です。

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(実行寺)
当初は大黒天と恵比須が二福神として盛んに祀られていましたが、室町時代に五体の神様を加え、七福神が完成したといわれています。これは、禅と茶道の隆盛にともない、竹林の七賢人などの絵が人気を呼んだことから、七賢になぞらえて福神を七体にしようとしたそう。また数字の七は、仏教では吉を呼び寄せる数字、願いが叶う数字として重んじられてきました。各福神のご紹介は、下の社寺案内をご覧ください。


◆函館山七福神とは?

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(厳島神社)
函館山七福神の歴史は、江戸時代末期にさかのぼります。町民文化が盛んであったころに「七福神祭」が行われていたという記録が残っており、古くから信仰されていたようです。また、函館山のふもとにある町の名前に、弁天町、旧大黒町、旧恵比須町と、七福神の名前が用いられていたことからも、身近なところに七福神の存在があったことがうかがえます。

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(住三吉神社)
函館山七福神巡りは、函館山のふもとにある神社や寺に祀られている七福神をお参りするもの。周りの街並みはもちろん、坂道を上り下りしながら、山や海の様子なども楽しめるのが最大の特色です。途中でひと休みできるスポットも多くありますので、気軽に歩けるコースになっています。


◆スポットガイド

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創建は江戸時代前期。古くから海の守護神として、漁業者や商人から信を得てきました。境内には、寄進された貴重な遺物が多く、手水石鉢をはじめ、加賀の廻船主たちが寄進した鳥居や、海上安全のため奉納された方位石などがあります。
弁財天(べんざいてん)
もとはインドの水辺の女神。琵琶を奏でる姿から芸妓上達の神、また水は浄める力を持っているということから金運、財運をつかさどる女神とされる。
※公開(弁財天・恵比須堂のガラス窓越し) 
所在地 函館市弁天町9-9(市電「函館どつく前」電停から徒歩1分)

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1644年創建。1881(明治14)年に現在地に移転。市内では高龍寺に次ぐ歴史があり、開港当初はイギリスやフランスの領事館、箱館戦争時には新撰組屯所が置かれていました。境内には、新撰組副長・土方歳三の供養碑や著名人の墓も多数あります。
毘沙門天(びしゃもんてん)
インドの神様。四天王のひとつ、多聞天の別名。右手に矛、左手に多宝塔をかかげる、武装分怒の守護神。
※公開(寺務所・宝物館内。寺務所に申し出が必要)
所在地 函館市船見町18-14(市電「函館どつく前」電停から徒歩8分)

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江戸時代に創建された日蓮宗の寺院。開港後はロシア領事館としても利用されていました。現在の建物は1918(大正7)年に完成したもので、本堂はケヤキが使われた美しいたたずまいの土蔵造り。境内には「日仏親善函館発祥記念碑」などの碑もあります。
大黒天(だいこくてん)
インドの神。大黒神とも呼ばれ、元来は武神。右手に小槌を持ち、米俵を踏まえている姿になり、恵比須神と並んで厨房の神とされる。
※公開(北辰殿内。寺務所に申し出が必要)
所在地 函館市船見町18-18(市電「函館どつく前」電停から徒歩9分)

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函館山のふもとの日和坂上にある神社。北海道最古の神社といわれ、源義経にまつわる伝説もあります。海に関連する神が祀られていて、漁業や船舶の関係者のみならず、受験生、就職活動中の学生など、進路守護を願うかたも参拝に訪れています。
福禄寿(ふくろくじゅ)
中国の神様。南極星の化身といわれる。長頭で不老長寿の薬が入ったひょうたんを携え、延命長寿の神、また財の神、方除け神とされる。
※公開(境内本殿近く。自由に拝観可)
所在地 函館市元町7-2(市電「末広町」電停から徒歩7分)

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【恵比須神社(えびすじんじゃ) 
現在の函館繁栄の基礎を築いた江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛に関連する資料を展示していた、北方歴史資料館(現在閉館)横にある神社。神仏の信仰厚かった高田屋嘉兵衛が守護神として屋敷に恵比須神を祀ったことから由来しています。外観のみ見学可。
恵比須(えびす)
右手に釣竿、左手に鯛を抱える姿から、元来は海を守る神、大漁の神、商業が栄えた室町時代のころからは商売繁盛の神とされる。
※非公開
所在地 函館市末広町23-2(市電「十字街」電停から徒歩5分)

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1850(嘉永3)年、福島県相馬から来た僧が大聖歓喜天を祀ったのが始まり。現在は別堂に祀られていますが、寺の前の青柳坂は「聖天坂」とも呼ばれていました。本堂向かって右前には、かつて函館山にあった薬師如来石像も祀られています。
布袋尊(ほていそん)
七福神の中で唯一実在した中国の禅僧。福々しい姿に大きな袋を背負い、喜びを施した。無邪気で無欲な心の豊かさを諭す神。
※公開(境内に入って左手。自由に拝観可)
所在地 函館市青柳町27-26(市電「宝来町」電停から徒歩5分)

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神社の創立年代は未詳ですが、言い伝えによれば、鎌倉時代に創建されたとのこと。1934(昭和9)年の大火により社殿が類焼。三吉神社と合併合祀の上、翌年、現在の社名に改称されました。社殿に向かう参道は、桜観賞スポットとしても有名です。
寿老神(じゅろうじん)
中国の延命長寿の神。巻物を結んだ杖を携え、三千年の長寿の象徴の鹿をつれている。うちわで難を払うことから、諸病平癒などにも功徳があるといわれる。
※非公開
所在地 函館市住吉町1-7(市電「谷地頭」電停から徒歩7分)


◆七福神めぐりに合わせて訪れたい喫茶処
(年末年始の臨時休業予定は2016~2017年のものです)

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和洋折衷の外観が目印。注文を受けてから作る白玉クリームあんみつが人気。船魂神社から徒歩1分。(通常営業)

大正時代の酒問屋別邸を利用。函館の正月に付き物の「くじら汁」が名物。船魂神社から徒歩2分。(12月29日~1月2日休み)

電車通り沿い、築100年の古民家を利用した和風カフェ。船魂神社から徒歩8分。(12月29日ドリンクのみ、12月30日~1月4日休み、5日はドリンクのみ)

大正ロマンがただようサロンのような茶房。恵比須神社から徒歩5分。(12月31日・1月1日は短縮営業16時ラストオーダー、1月4日~6日休み)

質蔵を改造した喫茶&アンティークショップ。クリームあんみつ+抹茶が人気。天祐寺から徒歩5分。(12月31日~1月2日休み)

大正時代の郵便局の建物を改装した店。ボリューム満点シスコライスが名物。恵比寿神社近く。(12月31日・1月1日休み)

築80年の建物をリノベーションした、落ち着きある雰囲気のカフェ。恵比寿神社と天祐寺の中間あたり。(12月31日休み、1月1日~3日は短縮営業11~17時、9日・10日休み)


【函館山七福神めぐりマップ】 (クリックすると拡大します)
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お参りしながら全部をゆっくり歩くと、約2時間のコースです。


※記者TT 2014/11/25~12/24取材、12/26公開、2016/12/29更新 
参考資料/函館山七福神研究会作成「函館山七福神めぐり」

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