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お湯と歴史と庶民の味、湯の川温泉の楽しみ方

  • 街歩き
函館の「湯の川温泉」は、路面電車で気軽に行ける温泉地として、また空港から車で約5分とアクセスがよいことから、多くの観光客が訪れます。温泉街をぶらりと歩くと、歴史スポットをはじめ、老舗の名店、人気カフェなど、見どころがいろいろ。津軽海峡や松倉川の風景も風情たっぷりです。
街歩きガイドとして活動している「はこぶら記者」が、湯の川温泉の楽しみ方をご紹介します。
※2022年秋からは、湯の川温泉の旅館やホテルが中心となって企画する体験プログラム「ゆのぶら」がスタート。温泉街ならではの楽しい企画が満載です。
 

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(写真提供/竹葉新葉亭)
 
◆まずは温泉の神様にお参り~湯倉神社
 
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市電に乗って終点「湯の川」で降りると、交差点を2回渡ったところに赤い鳥居の湯倉神社があります。昔、湯は神様からの授かりものとして、湯座に薬師様が祀られていました。江戸時代には、松前千勝丸(後の松前藩第9代藩主・高広)が湯治を行って難病が治ったお礼に、鰐口(円盤型の大きな鈴)が奉納され、神社は広く知られるようになりました。
 
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祭神の大己貴命(おおなむちのみこと)、通称大黒神にちなんで、みこし殿には「開運小槌」と「健康長寿小槌」があります。
 
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開運小槌は願い事を祈念しながら振り、健康長寿小槌は身体堅固を祈念しながら体の気になるところをなでるとご利益があるそうです。
 
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明治維新直後の箱館戦争の折には、五稜郭を占拠した旧幕府軍は、傷病兵を湯の川温泉で療養させたり、榎本武揚自身も時々入湯していたとか。神社下には「湯の川温泉発祥の地碑」があり、湯の川温泉の守り神として、今でも広く親しまれています。8月の湯の川温泉花火大会の日には、源泉を汲んで奉納して感謝の意を表する「温泉献湯式」なども行われます。
 
◆街角の「足湯」で気軽に温泉気分~湯巡り舞台
 
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市電「湯の川温泉」電停近くの交差点の一角に、誰でも気軽に利用できる湯の川温泉足湯「湯巡り舞台」があります。温泉街の中心部、市電の乗り場近くにあることから、買い物や散歩の途中に立ち寄る地元の人の姿も。気さくに挨拶されたり、「旅行で来てるの?」などと話しかけられたりして、体も心もぽっかぽかに温まります。
 
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浴槽には屋根がかかっているので、多少の雨や雪でも気にせず、手軽に温泉を満喫することができます。お湯に足を浸けると、心身ともにリラ
ックスし、癒されること請け合いです。なお、濡れた足を拭くタオル等はご持参ください。
 
⇒足湯はそのほか、函館市熱帯植物園にも
⇒日帰り入浴情報は「湯の川温泉で楽しむ、ゆったり日帰り入浴」をご覧ください
 
◆湯の川名物、温泉に入るサル~函館市熱帯植物園
 
温泉気分を楽しむのは人間だけではありません。湯の川温泉名物、函館市熱帯植物園の「サル山温泉」は、冬の湯の川観光のお楽しみのひとつです。
 
 
例年12月の初めから、翌年5月の大型連休まで、屋外のプールに温泉が引き入れられ、寒さや風雪をしのぐため、湯につかって温まるサルたちの愛くるしい姿が人気を集めています。
 
サル山温泉(函館イベントガイド)
⇒サル山の興味深いエピソードは「湯の川・熱帯植物園のサル山温泉物語」
 
◆街歩きしながら楽しむ、地元で愛されるなごみの味
 
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このあたりで、電車通り沿いに店を構える、地元の人気店を覗いてみましょう。やきだんご 銀月は、1966(昭和41)年創業、地元で愛されつづけている老舗和菓子店です。
 
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北海道産米でていねいに作られた看板商品の串団子は、つきたてのお餅のように弾力があり、もちもちとした食感が特徴です。
 
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お店で購入したお団子を、どこか表でいただきましょうか。湯倉神社の大鳥居右手には東屋があり、ゆっくり腰かけて食べられます。また、お天気のいい時は、少し足を延ばして、函館市熱帯植物園近くの砂浜へ行き、潮風にあたりながら食べるのもおすすめです。
 
◆興味に合わせて、ぶらり歴史探訪も
 
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さて、湯の川エリアには、温泉のほかにも、歴史的なストーリーのある見どころがいろいろあります。海岸近くの湯川黒松林は、金森倉庫の創業者・初代渡辺熊四郎が私財を投じて1889(明治22)年から造林した、北海道最初の防風砂防林。その頃から、この近辺は地元名士の別荘が建ち並ぶ温泉保養地として人気を集めたそうです。湯の川温泉街の中に、900本余のクロマツの緑地が広がり、現在は函館市民共有の財産として整備されています。
 
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市電・湯の川電停近くにある浄土宗の湯川寺(とうせんじ)は、函館山の観音信仰とつながりのあるお寺。境内には、かつて函館山にあった三十三観音像が遷座されています。これは、函館山の要塞化に伴って山を下ろされ、1914(大正3)年に湯の川に移されたもの。現在は、庭園型「西国移土三十三観音」となっていて、誰でもお参りできます。
 
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市街地の湯の川中学校あたりは、函館湯の川球場跡地(函館市湯川町2-41)として、野球ファンにとっては見逃せないスポット。ここに1934(昭和9)年、読売新聞社が世界最強といわれた全米選抜チームを招へいし、全日本選抜チームとの日米野球大会第2戦が行われました。全日本選抜チームの主将は、函館太洋倶楽部の久慈次郎。函館のスーパースターです。
 
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市街地の遊歩道(緑園通)では、旧戸井線の遺構「開進橋」を見ることができます。
※市道の拡幅工事に伴い、開進橋は2024年度中に架け替えのため解体されます。
これは、第二次世界大戦前に津軽海峡の防備のために建設された、未完成の鉄道路線。汐首岬砲台への物資輸送や、青函連絡船の輸送距離を短絡するため、1937(昭和12)年に着工、戦時中の1943(昭和18)年に工事が中断したものです。
 
⇒歴史スポット巡りの詳細は、函館まちあるきマップ「湯の川あったか散歩道~知られざる湯の川の歴史を訪ねて」をご覧ください
 
◆地元で人気の店でひと休み
 
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街歩きの足を休めるなら、懐かしい雰囲気のする店でゆったりひと息ついてはいかがでしょう。コーヒールームきくちは、湯川寺から歩いて6~7分のところにある昔ながらの喫茶店。北海道の人気演劇グループTEAM NACSがテレビ番組で紹介したことでも有名です。
口あたりさっぱりのソフトクリームは、モカ味が人気。
 
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丸山園茶舗 湯の川店は市電「湯の川」電停近く、湯倉神社の向かいにあるお茶の専門店。茶類の販売だけでなく、季節の情緒を表現したお干菓子と金平糖がついた抹茶セットが店内で楽しめて、憩いの場として親しまれています。
 
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「湯の川温泉」電停の目の前、電車通り沿いにあるクラフトビアレストランのEndeavour(エンデバー)。併設する「函館湯の川ブリュワリー」で醸造されたクラフトビールと、ビールに合う料理が自慢ですが、オリジナルブレンドのコーヒーも自慢です。ビールと同じくみなみ北海道・乙部町の超軟水を使用。
 
いかがでしたか。何気ない街角の風景や温泉の歴史などを感じながら気ままに歩いてみると、楽しい出会いや、思いもよらない発見がいっぱいあります。函館にお越しの際は、ぜひ湯の川温泉へ足を運んで、街歩きを楽しんでみてください。
 
湯の川散策マップ
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2015/3/27公開

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