ミシュラン一つ星の「函館港の散策」案内
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日本に関する旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で、函館山からの眺望が三つ星に新規収録されたのが話題になりました。函館ではほかに、さまざまなスポットが二つ星、一つ星として掲載されましたが、注目されるのは「函館港の散策」の一つ星選出。函館の楽しみ方のひとつである「街歩き」、それも、函館(箱館)の開港に始まる発展を見つめてきたベイエリアの散策は、今や函館観光の基点となっていると言っても過言ではないでしょう。

さあ、港町函館の歴史と爽やかな潮風を感じながら、ゆっくりと歩いてみましょう。スタートは、ベイエリアの人気ホテル「ラビスタ函館ベイ」あたりから。右手に港を眺め、ぐるりと岸壁に沿って、緑の島につながる新島橋まで散歩です。

七財橋と赤レンガ倉庫

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no01.jpg七財橋の向うに赤レンガ倉庫、函館山。右手は海
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no02.jpg橋を下りると、ベイエリアのにぎわい
     
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no03.jpg七財橋と掘割をBAYはこだての広場側から見る
 
ラビスタ函館ベイの港側に出て、函館山に方向を定めると、まず目に入るのが赤レンガ倉庫と、古めかしい石垣のある急な橋。今では、この周囲をまとめて赤レンガ倉庫群と呼んでいますが、実はこの橋をはさんで建つ倉庫(現在のBAYはこだて)が、一足早く建てられました。明治15年に三菱が海産物の保管庫として建設したのがきっかけで、この地帯が海産物の集積拠点となり、明治20年には金森倉庫が加わって、現在のような情緒ある風景を成したわけです。

石垣のある橋は七財橋と名づけられていますが、三菱倉庫建設の陣頭指揮を執った石川七財が由来です。その七財橋の上から見ると、堀割(通称運河)が延びていることを確かめることができます。当時防波堤のなかった函館港の波を避けて、荷降ろし作業をしやすくしたのでしょうね。

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no04.jpg赤レンガ倉庫前から港を一望。さまざまな船が行き交う
 
今ではロマンチックな光景も、当時は日本有数の海産物集積港の賑わいと、荷役業の男達の姿があったと想像されます。

余談ですが、その荷役業の朝の気つけ薬の役目を担ったのが、日本でも一部の人しか飲んでいなかった珈琲だったそうです。函館は文化もいち早く集まって、一般庶民に広まった街でもあるのです。


赤い靴のきみちゃん像

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さて、函館の都市としての発展に書き切れないほどの功績を残し、四天王の一人と呼ばれた渡邊熊四郎が築き上げた金森倉庫を過ぎると、T字路の斜め右に、可愛い女の子の像があります。「赤い靴の少女」の像、童謡「赤い靴」のモデルとなった岩崎きみちゃんです。

赤い靴といえば「横浜の波止場」がピンときますが、少女は静岡県生まれで、母と一緒に北海道に渡ってきました。病弱なため、開拓のために北へ向かう両親からアメリカ人宣教師に預けられ、函館で暮らしたのでした。ここのすぐ近くにある東浜桟橋(旧桟橋)から、母親と北海道の地に降り立ったとのことで、2009年に建立されたものです。









no05.jpg函館出身でローマ在住の彫刻家・小寺真知子作


新島襄のブロンズ像、旧桟橋、新島襄海外渡航碑

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no06.jpg鎖国の禁を破って小舟で沖に出る新島襄の姿
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no07.jpgかつては東浜桟橋と呼ばれていた旧桟橋
     
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no08.jpg自筆の碑文が刻まれる、新島襄海外渡航碑
 
港には人の出会いと別れがつきもの。しかし、希望の旅立ちもあります。西波止場の角を曲がったところには、希望を胸に脱国する新島襄の像がたたずんでいます。

京都・同志社大学を創立した新島襄にとって、函館港は希望の港であったのでしょう。吉田松陰の海外密航の失敗を知った新島は、民間商船が多数寄港していた函館を選び、1864年、東浜桟橋から歩いて3分ほどの海岸から船出して海外へと渡ったのです。その記念碑は目立つ場所にはありませんが、碑と海を眺めると、新島襄にとっては、きっとこの函館港の海がキラキラと輝いて見えていたのだろうと想像することができます。

東浜桟橋は、青函連絡船の桟橋ができるまで、沖に停泊した連絡船からの上陸用に使われていたもの。今は、港のビュースポットとして人気です。


緑の島付近から振り返るベイエリア

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no09.jpg今はプレジャーボートが係留され、遊覧船がめぐる函館港
 
函館港の散策の仕上げに、緑の島につながる新島橋のたもとから、ベイエリア全体を眺めてみましょう。急ぐことはありません。ベイエリアの海岸にはたくさんのベンチがあります。そこに座り、海を眺め、商船・漁船が港を埋め尽くしていた明治時代を想像してみてください。

函館港には、開港以降、希望を胸に抱いて北海道の大地に降り立った人々の足跡があります。また、海産業の繁栄によって、仕事に従事していた人々の物語もあります。これらの人間ロマンと、倉庫と、潮風と穏やかな海面が織り成す雰囲気を、どうぞ皆さんも充分味わい、深く息を吸い込んで体の記憶の一部にしてください。そして旅を終えた後に、息を吐き出すと、きっとあなたの脳裏にはキラキラとした函館港の海の輝きが甦るはずです。

※記者J 2011/6/22取材


ベイエリアでひと休みできるカフェ&レストラン


今回の散歩コース
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