路面電車で旨いもの巡り＜その２＞

■広島風お好み焼　ピックアップ！（昭和橋電停近く）

熱々のお好み焼きを肴に音楽に浸り、酒を酌み交わす

　堀川広路沿いの緑豊かな公園近くで、赤い看板が目を引くお好み焼きの店。１９８５年に札幌で創業し、２０１５年に閉店した名店を、学生時代にアルバイトをしていた山口慎一店長が、当時の常連客たちの後押しを受け、23年に函館で復活させた。夜は生演奏が楽しめるライブバーとしても営業。道南を拠点に活躍するミュージシャンがその腕前を披露し、音楽を軸に来店客同士の輪が広がっている。

　人気メニューの「ピックアップ！スペシャル」は、中太縮れ麺とたっぷりのキャベツに、イカ天のダシが染み込みクセになる広島風お好み焼き。できたてから漂う特製ソースの香りに誘われて一口頬張れば、ダシの風味と豚バラ、キャベツ、モヤシの旨みが絡み合って、アルコールが進むこと請け合い。鉄板の上でジャガイモをつぶして作る「焼ポテサラ」は、ジャガイモに混ぜ合わせたピリッとした粒マスタードと、香ばしい焦げ目を付けたチーズが好相性。外はカリッと中はホクホクの食感に夢中になる。

広島風お好み焼 ピックアップ！

函館市堀川町7－3

☎0138－83－6889

11時半～14時、17時～21時半

日曜定休　禁煙　

Ｐ有り

キャッシュレス決済利用可　

■ＨＡＰＰＹ　ＡＳ　ＬＡＲＲＹ（杉並町電停近く）

一期一会のクラフトビール

　国産クラフトビールとナチュラルワインが自慢の店。飲み歩きが大好きという店主の松本美栄香さんは、カナダで出合った小規模ブリュワリーの個性豊かなビールに魅せられ、２０２１年に通称〝ハピラリ〟を開業した。

　同じ銘柄は２度仕入れないというクラフトビールは、泡を入れないカナダスタイルでグラスの縁までなみなみと注ぎ、厚沢部町にある実家の農家で収穫した旬野菜を取り入れた酒にぴったりの料理と提供。このほど食事メニューを増やし、テイクアウトデリカもスタート。飲みたい日も飲めない日も気軽に立ち寄れる一軒だ。

ＨＡＰＰＹ　ＡＳ　ＬＡＲＲＹ（ハッピーアズラリー）

函館市杉並町23－10　

電話なし

17時～24時

※土曜14時～24時（23時半ラストオーダー）

※日曜14時～22時（21時半ラストオーダー）　

不定休　禁煙

キャッシュレス決済利用可

■ｈａｒｕ‐ｎａ‐ｔｅｉ（杉並町電停近く）

　名古屋ゆかりの料理を味わえる

　電停から徒歩１分の至近距離にあり、食堂でありカフェでもある〝よろず屋〟のような酒場。

　店主の上村春奈さんが故郷の味を再現する「名古屋の手羽先」のこっくり甘辛な手羽ダレを絡めた唐揚げ、自家製生地のネギみそピザ、本場から取り寄せるきしめん、塩辛パスタと、来店客の声に応えて増やした料理やドリンクは冊子になるほど豊富。仕事帰りに夕飯を食べに来たり、女子会で盛り上がったり、時間を忘れて一人で飲んだり…。「50年続けたいので、お客さまにも長生きしてもらえるよう体に良いもの作ってあげなきゃ」と笑い、気負わないもてなしで愛されている。

haru－na－tei（ハルナテイ）

函館市杉並町20－41

☎090－1388－3353　

18時～24時

火曜定休　

喫煙可　

駐車場１台あり

■居酒屋　庄平（柏木町電停近く）

　驚きと感動のある一品で酒の席を笑顔で満たす

　地元農家の野菜や実家の鮮魚店から仕入れる魚介を使い、工夫を凝らした創作和食を振る舞う。店主の上田真さんは、電停そばのこの場所で長年寿司店を営んでいたおじから料理を学び、市内の高級和食店でも修業。地元客が８割以上というリピーターの多いこの店で、来るたび感動のある料理を味わえるよう、日々旬や仕入れによりメニューを変え、おまかせコースは毎月内容を一新。期間限定のランチでは夜に好評だった豆乳担々ラーメンを復活させ、新たなファンを増やしている。

　常連客のリクエストで毎年６～８月にかけて提供する「いかめし」は、肉厚でやわらかなイカの身に程よくしょう油ダレが染み込み、つまみやすく上品な味付けが地酒にぴったり。厳選する刺身には、カツオと昆布のダシを加えた専用のしょう油を用意するなど、一品一品細部にまでこだわる。「おいしい料理は人を笑顔にする」と腕によりをかけ、心地よく酔える時間を届けている。

居酒屋　庄平

函館市柏木町6－43　

☎0138－32－3811

11時～14時（13時半ラストオーダー）※ランチは水～日曜のみ

17時半～23時（22時半ラストオーダー）

月曜定休　

ランチのみ禁煙

駐車場９台あり

キャッシュレス決済利用可　

（この記事は、フリーマガジン「ハコラク」2025年7月号から再構成したものです）