テラスで愉しむ美食と癒し<その3>
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眺望がいい
秋に入り、函館市内も心地よい風が吹くようになりました。
心地よい潮騒を聞いたり、森の中でやわらかな木漏れ日を浴びたり…
自然を身近に感じられるテラスを備えた、函館市とお隣・七飯町のお店をご紹介します。
最終回は函館のお隣・七飯町の4店舗。函館観光の後に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
■森の丘のcafe 青い空
大人も冒険したくなる緑豊かな秘密基地カフェ
道道96号線から看板を頼りに山道を進むと、木々に囲まれた「森の丘のカフェ青い空」が見える。天井まで木の枝が這うように飾られた店内は大樹の中の隠れ家のような趣きで、グランドピアノや暖炉のそばにテーブル席が並び、そこかしこに置かれたレトロな調度品も相まって、物語の世界に迷い込んだ気分に。1階のテラスに出ると生い茂る緑が屋根のように木陰を作り、サワサワと吹き抜ける風や野鳥のさえずり。サイフォンで淹れたすっきりとした後味のコーヒーを片手に、裏の畑で育てた野菜を取り入れたカレーにチーズを乗せて焼くキーマドッグや手作りスイーツをぱくりと頬張ると、時間がゆっくり流れているような穏やかな気持ちに浸れる。
周囲に茂る木々に向かって座れるカウンター3席とテーブル席が並ぶテラスは広々としていて、ブランコや野鳥用のエサ台も設置。テラス近くを人懐っこいヤマガラが飛び交い、エゾリスの巣も残されている。
2階のバルコニーやはしごを上る3階の展望台では、眼下に広がる林から横津岳までを一望し、敷地内にはペットの鶏が住む小屋や金魚が泳ぐ池、ログハウスの貸別荘「陽燈しの郷」もある。お腹を満たした後は、童心に返ってワクワク探検したい。
森の丘のcafe 青い空
七飯町仁山455-63
電話なし
問い合わせメール/cafe.aoisora2015@gmail.com
11時~17時(16時半ラストオーダー)
不定休 (休業日はインスタグラムで告知)※1~3月冬季休業
禁煙 駐車場あり
■Ristorante YUKARA(リストランテ・ユーカラ)
秀峰・駒ケ岳を眼前に大沼の美味を尽くしたパスタやピザを堪能
大沼国定公園敷地内に2023年オープンの「ユーカラ・トラットリア フォレスト」が、店名も新たに25年4月にリニューアルした。北斗市のレストラン「ポッケディッシュ」のオーナーシェフ・齊藤亘胤さんの監修を受けて、メニューも一新した。地元有機野菜農家が生産する旬の野菜や、老舗「宮崎鯉屋」のコイ、森町産ひこま豚など、大沼を中心にした地場産食材を使い、ここでしか味わえない一皿を提供している。
2階のテラス席からは秀峰・駒ケ岳を眺め、風光明媚な大沼の風を感じながらゆったり過ごせる。
定番のパスタ「ゴロボロネーゼ」はゴロッとした肉の食感が際立つ粗挽きひこま豚の旨みと、オリジナルブレンドハーブの芳醇な香りが後を引く。また、自家製生地のマルゲリータピザ「ヌマルゲリータ」は薄焼きながらモッチリとした歯触りで、何度通っても飽きがこないよう、時期ごとに食材やソースをアレンジ。一期一会の味に仕上げ、ビールやワインとの相性も抜群だ。店先と2階にあるテラス席から望む、大沼国定公園の豊かな自然、雄大な駒ヶ岳の姿も肴にグラスを傾け、非日常感に浸りたい。
Ristorante YUKARA
七飯町大沼町207
☎0138-83-2371
10時半~16時
8~10月は無休 (ほかの月は不定休)
禁煙 駐車場あり
キャッシュレス決済利用可
■沼カフェ OWL
大沼の四季を伝えるギャラリー併設の街中カフェテラス
東大沼キャンプ場向かいにあった「カフェ&ギャラリーM7750」が店名新たに移転し、2025年4月に大沼公園駅前通りにオープン。鎌田ひとみ店主が手作りする料理や旬のフルーツを使うクレープはそのままに、夫で写真家の明宏さんが大沼国定公園で撮影した写真が並ぶ併設のギャラリーもカフェとして開放している。
店舗は25年ほど前に自宅兼ギャラリーとして建てた「写遊館」を改装。テラスにあるメイゲツカエデは、家を建てた時に記念樹として植えたもの。天気が良ければ席から駒ケ岳の一部も見える。
カエデの木が植えられた日当たりの良いテラス席は、大沼散策やサイクリングをする人が行き交う通りを見渡し、ペット連れや電車の待ち時間に地元の人も立ち寄る憩いの場。地場のブルーベリーを果肉感たっぷりに味わえる自家製ソーダや、北広島のエーデルワイスファーム製の香り高いベーコンを主役に考案したオムライス風の「とろとろ玉子のベーコンライス」など、鎌田店主は注文ごとに丁寧に調理し振る舞う。「お待たせすることもあるけれど長居大歓迎。写真を眺めたりゆっくり過ごしてほしい」と優しくほほ笑み、大沼の自然や暮らしを身近に感じさせてくれる。
沼カフェ OWL
七飯町大沼町211-5
☎0138-68-1360
10時~17時(11月~3月は11時~16時)
水・木曜定休(ほか臨時休業あり)
禁煙 駐車場あり(5台)
■Hütte Mockchan モックちゃんの山小屋
湖畔散策の目的地に 森のカフェで至福のひととき
大沼公園線に掲げられた旗を目印に、木々が縁取る小道に入って進めば、ログハウス「ヒュッテモックちゃん」にたどり着く。北海道の自然とアクティビティーに引かれ、7年前に関東から移住して来た店主の堀井恵さん夫妻が、知人の紹介で築40年の宿泊施設を購入。古き良き佇まいを生かしてリノベーションし、2024年にペンションをオープンした。
金曜から月曜に営業するカフェでは、チーズケーキを看板メニューに、スイーツ、全粒粉と有機黒糖を使った手作りパンに自家製ベーコンほかこだわり具材を挟むサンドイッチやパニーニ、ハンドドリップコーヒーをはじめとしたドリンクを揃えている。これらを目当てに、大沼湖畔のドライブや散策、サイクリング中の休憩スポットとして利用する人も多い。庭には自由に飲食できるタープやテントを設置。カフェ利用客も宿泊客も、庭でダッチオーブンを使い、たき火で調理するなど気軽にキャンプ体験ができる(要問い合わせ)。
吉野山を望むログハウス周辺は野鳥のさえずりが響き、涼しい木陰を作る樹木、季節の花々を咲かせる野草とも出合える癒やしの森で、大自然を感じながら味わう一品は格別だ。
Hütte Mockchan モックちゃんの山小屋
七飯町軍川4-3
電話なし
10時~17時
火~木曜定休(ほか不定休あり)
禁煙 駐車場あり
(この記事は、フリーマガジン「ハコラク」2025年9月号から再構成したものです)