旧岡本邸

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優雅さと計算された緻密な意匠を持つ、昭和初期建築物の傑作のひとつ。現在は函館初のウイスキーの瓶詰め業者が事務所として利用。映画「PとJK」のロケ地になった。

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元町の八幡坂と日和坂の間、旧相馬家住宅のある横通りに面して、どこから見ても上質な洋館に見える建物があります。それも、坂を利用して地下までも備えた豪奢で贅沢な造りのもの。その内部は、もしも現代に再現しようとしたら、どこかわざとらしくて逆に薄っぺらく感じられるかもしれない、レトロで優雅な佇まいを持っているものです。

この建物が建築されたのは1927(昭和2)年、当時「ウロコ」の愛称で函館で確たる地位を築いていた函館製網船具株式会社の、社長・岡本康太郎氏の娘婿・岡本栄三郎氏の邸宅として建設されたもの。単なる偶然かもしれませんが、同じ年に、この建物の真下に通称プレイリーハウス(旧佐田邸)という、同じく全て洋風で仕上げられた建物が建築されています。当時の潮流となっていたのか、どちらかが相手を意識したのかは、今となってはわかりませんが、高級住宅街である元町に相応しいお洒落な建物が、同時に出現したことになっています。

建築は、日本初のコンクリート寺院・東本願寺函館別院、旧丸井今井函館支店、大正の大火で消失したカトリック元町教会を改修工事で現在の形にした木田保造が担当しており、この建物の二階和室にその棟札が飾られています。これはとても貴重な歴史を語る現存物です。

この建物には、どこを見ても「陳腐でそれなりではあるけれど」と表現されるべき箇所はありません。要所に散りばめられたステンドグラス窓、立ち位置を意識してそこから見える内壁の作り方、または空間の表現や逆に隠し方、地下洋間から続く居住者か訪問者だけが楽しむことを許された閑静な庭など、非の打ちどころが全くありません。

以前はギャラリーやカフェとして営業していましたが、現在は函館初のウイスキーのボトラーズ(瓶詰め)業者が事務所として利用。2017(平成29)年3月に公開された映画「PとJK」のロケが行われ、主人公の住居として登場しました。

参考資料/関根要太郎研究室@はこだて、はこだて人物誌

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詳細情報

住所 函館市元町32-5
アクセス情報

市電 「末広町」電停 下車 徒歩5分

問合せ先 函館市観光案内所
電話番号 0138-23-5440
利用時間

外観のみ見学可

駐車場

周辺に有料駐車場あり

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