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きゅうまつはししょうてん(みなとのいおり)
明治から時空を超えて甦った建物。煉瓦造、木造、土蔵の3種で構成された、函館の歴史の奥深さを知ることができる大変貴重なもの。第20回函館市都市景観賞受賞建築物。
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人がさまざまな旅を経てある所に辿り着くように、まるで幾多の旅を終えて故郷にもどったかのような建物が函館にあります。その建物は、函館港に突き出た「緑の島」への入口あたりにある旧松橋商店。明治35年築のこの建物は、当時米穀店と海産商を営んでいた松橋像作氏によって建てられました。
外観のデザインは、同時期に建築された太刀川米穀店にも共通するものがありますが、特筆すべきなのが、この建物は道路側から煉瓦造、木造、土蔵という3種類の建物がつながっているという、珍しい構造になっていること。さらに、ある時から外見上は同じ外壁で覆われていたということ。入口に三角屋根のある写真がその時の姿ですが、空家となっていたこの建物を市内の有志たちが借り上げ、明治時代の意匠に復元したのが現在の姿です。その工事の際に出現したのが、玄関戸の上部壁にある明治時代からの装飾です。
現在に至るまでに4度所有者が変わり、外観も変わっていたのですが、2014年、その長い時の旅を終えて見事に明治時代の姿に戻った、ということでしょうか。現在は「港の庵(いおり)」という名称を与えられ、基本的には出資者を中心とした団体「臥牡牛快食倶楽部 ソシエダガストロノミカ 」の定期食事会で使用しているため、一般公開はされていません。ただし、函館西部地区バル街やその他音楽会などのイベントなどに利用されることがあり、タイミングが合えば明治時代の見事な梁や階段などを見ることができます。また、2016年秋に公開になった映画「函館珈琲」では、主人公たちが居住するシェアハウスとして登場していますので、そちらでも内部を見ることができます。一般のイベント等での利用も可能です(有料)。
このように、函館には、外壁を剥すと過去の姿が甦るのではないかと思われる建物がいくつもあります。そのような視点で街歩きをしてみるのも面白いかもしれませんね。
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※記者J 2016/8/10取材、9/30公開 2022/12 更新
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明治・大正の建物、歴史好きに、市電から徒歩5分以内