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足をのばして欲張り旅 「恵山・戸井・椴法華・南茅部エリア」

溶岩と青い海の絶景、恵山登山体験記

140919M01.JPG函館市、渡島半島の東南端にそびえる活火山・恵山(標高618メートル)。初夏はツツジ、秋は紅葉で山が彩られ、多くの人が訪れます。

山腹の高原駐車場(標高約300メートル)から山頂までの登山道は、大人の足で約1時間で到達できて、気軽にチャレンジ可能。それでいて、目の前に立ち上がる噴気や荒々しい溶岩は、異次元の世界を体験させてくれます。

晴れた日には、露出した山肌と山腹の緑、青空と青い海が作り出すコントラストは、ため息が出るほどの美しさ。夏の終わりの澄み切った空気のなか、高原駐車場から山頂を目指して歩いた、登山体験記をお届けします。

◆函館中心部から登山口の駐車場まで、車で約1時間半

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函館中心部から国道278号線で恵山を目指し、車で1時間少し走ると、「道の駅 なとわえさん」に到着。休憩がてら車を停めて海のほうに出てみると、行く手に恵山の荒涼とした山肌がくっきりと姿を現します。陽の光が当たっている神々しい雰囲気を拝むと、引き寄せられるような気持ちさえ湧いてきます。

登山口まで、もうひと走り。国道から道道635号(元村恵山線)に入って海沿いを走り続け、函館バスの「恵山登山口バス停」の先で左折して、つつじ公園を右に見ながらさらに山道を上り、高原駐車場を目指します。15分くらいで到着です。


◆駐車場から山頂コース入り口への道も、息をのむ光景

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高原駐車場で車を降りると、視線の先には白い噴気の立ち上る露出した山肌が。季節ごとに何度訪れても、まさに「山が生きている」ことを感じさせる姿に息をのみます。駐車場から山頂までは3キロ弱、所要時間は約1時間。いざ、山頂目指して出発です!

駐車場から、まずは山頂を目指す「権現堂(山頂)コース」の入り口まで歩きます。この道はなだらかで舗装されていて、このあたりを散策して駐車場に戻る観光客の姿も多く見られます。

歩道の左手は「賽(さい)の河原」。積み上げられた小石やお地蔵様の姿が点在し、信仰の対象となっているスポット独特の空気がありますが、澄んだ青空の下の賽の河原は、どことなくあっけらかんとした雰囲気も漂います。

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◆噴気立ち上る登山道に、噴火の歴史を物語る岩の表情

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登山口から歩きはじめると、コースは急な上り坂もありますが、木で組んだ階段が整備されているので、一歩一歩踏みしめて登りやすくなっています。登山道沿いにある岩々の穴の開いた表面や、行く手にどっしりと安座している大きな岩の存在には、この山が5万年前という太古の昔から噴火活動を繰り返している山であることに思いを馳せずにはいられません。

標高618メートルという低い山ながら、登山道にはブルーベリーのような実をつけた高山植物、ガンコウランの姿も。津軽海峡に霧が発生しやすい気象条件や、火山灰の性質などが、低い山にも高山植物が育つ環境を作り出しているそうです。

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駐車場から見上げた荒々しい岩肌の様子の割には、登っている最中はほとんど噴気の影響が感じられません。登山道がそのように整備されているのでしょう。しかし1カ所、地表の岩の間から白煙が立ち上るスポットを通過します。風向きによっては硫黄臭の空気を不意に吸い込んでしまって気分が悪くなる場合もあるので、タオルなどで鼻と口元を覆って通過していきましょう。

岩に囲まれ、噴気が立ち上る景色の下方に先ほど車を停めた駐車場を見つけると、何だか違う世界に来てしまったような、心もとない気持ちになります。でも、時折すれ違う他の登山者たちと「こんにちは」「おつかれさまです」と言葉を交わすと、ホッとします。


◆標高が上がるにつれ開けてくる噴火湾、太平洋の眺望

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道も半ばになると緑は全くなくなり、石ころの道を踏みしめていく作業がしばらく続きます。そして、標高が上がるにつれて開けてくるのが噴火湾や太平洋の眺望。時が止まるような感動を覚えます。

北のほうに噴火湾方面を眺めながら、「あちらは室蘭あたりかな。苫小牧はもっと東の方かな?」など、海の向こうの大地に思いを巡らせます。実際、室蘭の地球岬からも、晴天の日には恵山岬が望めるそうです。

海に点在する船の姿や、水平線に沿うように浮かぶ雲が作るライン。こんな景色を見ていると、石ころの道を歩き、階段を上り続けてきた足の疲れもどこへやら。海と空を見ながらしばらくボーっとすると、また階段を上るエネルギーが沸いてくるのは、絶景のおかげでしょうか。

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◆いよいよ山頂。再び緑が増えてきて、高原の雰囲気

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山頂が近づいてくると、再び緑が増えてきて、岩ばかりの風景から、少し潤いのある高原が広がります。小さな虫もけっこう飛び交っていて、何だか活気づいた雰囲気。さあ、もうひと踏ん張り!

高原駐車場から大人の足で約1時間、小学生に上がるくらいの子どもでも、普段からよく歩く子であれば1時間半程度で到着できる山頂。実際には、周りの景色に見とれてしばしば足を止めながら歩くので、もう少し時間がかかるかもしれませんね。

澄んだ空気の向こうには、下北半島。地元の人によると、年に数日は岩木山まで見えることがあるそうです。絵の具の優しいタッチで描かれたような空の中に、自分も仲間入りできているのではないかと思えるほど、目の前の青に気持ちが吸い込まれていきます。壮大なパノラマと心地よい風を充分に味わったら、後ろ髪を引かれる思いを感じながら、再び駐車場を目指して下山します。

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下りの方が疲れていて、階段の木に足を引っかけやすかったり、石ころを踏んで滑りやすかったりするので、上り以上に注意を払いながら確実に足を運びましょう。駐車場に戻ってくると、現実の世界に引き戻されたような気分になります。

恵山の噴火活動は、1874(明治7)年6月の小噴火以降、小康状態になっています。その長い歴史の中で、穏やかで親しみやすい姿を見せてくれている時代に、恵山に出会えたことを感謝したくなります。何事が起きても動ぜずに、そこで存在感を発し続けるであろう恵山の姿。訪れるごとに新鮮な感動を覚えるパワースポットです。

⇒恵山への登山情報はこちら


◆恵山の魅力・番外編 春のつつじ、秋の紅葉も圧巻!

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恵山のふもとの「恵山つつじ公園」が赤いつつじに包まれる5~6月や、高原駐車場の木々が深みのある赤、黄、緑に変わる10月の紅葉時期にも、ぜひとも訪れていただきたいと思います。たくさんのつつじの花は、くぐり抜けて探検できるほど。紅葉に包まれた高原は、小人が飛び出してきそうな感覚になります。

高原駐車場を挟んで恵山と反対側にある海向山は、標高570メートルのお椀のような形の山。高原駐車場から登山コースがあり、山頂手前から、紅葉に包まれた恵山の全貌を見渡すことができます。

※記者C(一部写真撮影/編集室M) 2014/8/28取材、9/22公開

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