旧亀井邸

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函館の洋風建築を代表する大三坂の建物。文学者・亀井勝一郎が函館を旅立つ直前に建築され、五島軒を建築した実弟・勝次郎とともに過ごした実家。伝統的建造物。外観のみ見学可。

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大三坂の石畳を踏みしめながら木陰の歩道を上っていくと、右手のカトリック元町教会の手前にピンク色の「可愛い」住宅が見えてきます。急こう配で波型がおしゃれな赤い屋根、窓のある曲面の壁などが特徴の、函館を代表するこの洋風民家は、一度見ると強烈に記憶と心に残るもの。函館の教会群や元町の歴史的な建造物を楽しむ、その玄関のような役目の建物がまさしくこの旧亀井邸(文学者・亀井勝一郎の実家)です。

この建物は、建築家・関根要太郎と実弟・山中節治の共同作品で、両氏が当時世界的に流行していたドイツなどの「ユーゲントシュッティル」という建築様式を用いたもの。この様式は、末広町に現存する函館海産商同業組合事務所にも通じるものです。大正当時の函館は、建築物でも文学などの文化の面でも、密度の濃い時期でした。日本でも有数の最先端の技術や文化が誕生していたといっても、過言ではないでしょう。この建物は、そんな「古き良き時代の函館」の象徴的な建物であります。

元々亀井家(父・喜一郎)の居宅はこの場所にあり、勝一郎もここで生まれたのですが、1921(大正10)年、彼が函館中学校(現函館中部高校)3年生の時にこのあたりを大火が襲い、居宅は消失してしまいました。その後、現在の建物を新築したわけです。つまり、勝一郎の実家が建替えられたもので、その後1923(大正12)年に山形高等学校に入学するまでの1年強を、この家で過ごしたことになります。

なお、この建物周辺は全国的に有名になった作家が同じような時期に住んでいたという奇跡的な地域です。諸々の資料を考察すると、この亀井邸の坂下の隣に、直木賞作家である久生十蘭が育った住宅があったと推測できます。また、すぐ近所に「丹下左膳」で有名な長谷川海太郎の実家もあったようです。私有物のため、公道からの見学になります。

参考資料/「田中清玄自伝」、長谷川玉江回想録「長谷川家の人々と函館」、函館市文学館「函館『不良文学』は元町育ち」、亀井勝一郎著「東海の小島の思い出」、関根要太郎研究室@はこだて

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カテゴリー

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詳細情報

住所 函館市元町15-28
アクセス情報

市電 「十字街」電停 下車 徒歩6分

問合せ先 函館市観光案内所
電話番号 0138-23-5440
利用時間

外観のみ見学可

駐車場

周辺に有料駐車場あり

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