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街灯りと函館山の競演 「裏夜景」を楽しむ

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函館といえば、誰もがすぐに連想するのが、函館山山頂から市街地を見渡す、いわば「表夜景」。細くくびれた半島に、まばゆく輝く市街地と、その向こうにうっすらと見える山々が美しいことで有名です。
一方、その向かいの山々から、逆に函館山方向を眺めるのが「裏夜景」。観光の定番は表夜景ですが、裏夜景が見学コースにあるツアーもあるようです。代表的なスポットである城岱(しろたい)牧場やきじひき高原に展望台が設置される(冬期は閉鎖)など、注目度はますます上昇。函館の夜景のひと味違った魅力をレポートします。
きじひき高原の展望台からの夜景)
 
◆裏夜景が注目される理由、表夜景との違いは?
 
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函館山山頂からの「表夜景」
細くくびれた市街地の光と、両側に見える光のない海。「表夜景」の最大の特徴は、この明暗のコントラストでしょう。その美しさは、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で「わざわざ旅行する価値がある」を意味する三つ星として紹介されていて、国際的にも高い評価を得ています。標高334mの函館山山頂へは、ロープウェイならわずか3分。左を函館湾、右を津軽海峡に挟まれた美しい地形は、とても近くに、輝きながら横たわっているように見えます。
 
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城岱牧場の展望台からの「裏夜景」
対して「裏夜景」は、函館山が見えるのが一番の違いでしょうか。表夜景は函館山から見ているので、その違いは当然ですね。そして、角度や距離の違い。函館山から見おろす角度は約10度だそうですが、実際に見てみると、すぐ上から見おろしている感覚。それに対して、裏夜景はやや遠くから同じ目線で横から眺めている感覚。
表夜景には自然が生んだ地形の妙を、裏夜景にはそこに住まう人々の営みや温かさを、感じるような気がします。これは、あくまで一例。人それぞれの感じ方があるでしょう。みなさんも、実際に表夜景と裏夜景を味わってみてはいかがでしょうか。
 
◆函館近郊のNo.1裏夜景スポット、七飯町の城岱牧場展望台
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裏夜景の代表的なスポットである、お隣七飯町の城岱牧場へは、函館市街地から車で約30分。春から秋のあいだは、放牧された牛たちがのんびりと寝そべったり、草を食べたりしています。
 
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丘の上、駐車場、展望台などから広々とした景色が楽しめます。
 
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訪ねた10月上旬には、日没時刻は17時ごろ。
 
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17時20分ごろ、だんだんと街灯りがともっていきます。
 
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夜景らしくなってきたのは、日没から30分後の17時30分ごろ、その後はどんどんと暗くなります。真っ暗になると、函館山の形が見えなくなってしまうので、完全に暗くなる前の一刻が、最も美しく見えます。
 
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17時45分ごろ、函館山が闇に溶け込んでいき、山頂展望台の灯りがぽつんと見えます。実際に眺めていると、山中を光が小刻みに揺れ動いているように見えます。おそらく車のヘッドライトの光芒でしょうか。七飯町でのこの夜景の愛称は「七つ星夜景」です。
 
函館市街地から車で約30分。城岱スカイラインは冬期閉鎖。展望台の開館は10~16時(4月下旬~11月上旬)。
城岱牧場・城岱スカイライン(七飯町)
 
◆新幹線の新函館北斗駅から車で20分、きじひき高原
 
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北海道新幹線の終点、新函館北斗駅のある北斗市にも、裏夜景観賞スポットがあります。標高560メートルの「きじひき高原パノラマ展望台」からは、函館山に続く大野平野や函館湾が一望できます。城岱牧場と同じように、日没前後の風景は見事です(最初の写真参照)。
 
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季節や天候によっては、津軽海峡にイカ釣りの漁火(いさりび)が並んだり、空に天の川が広がることもあります。天の川は函館の街灯りや漁火の明るさによっては肉眼でわかりにくいのですが、カメラでなら条件次第で撮影可能です。
 
きじひき高原 パノラマ展望台
函館市街地から車で約40分。4月下旬~10月末の8時半~20時に開館しています。キャンプ場も利用可能。冬期は通行できません。
きじひき高原ライブカメラ
 
◆市内で見るなら、赤川や東山の高台から。ゆっくりできるカフェも
 
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函館市内の裏夜景スポットは、函館山から市街地をはさんで反対側の高台にいくつかあります。市街地から車で約15分の赤川地区もそのひとつ。「五稜郭公園前」の交差点から赤川通りを北上し、公立はこだて未来大学に入る道からさらに先、函館バスの旋回所より手前を赤川桔梗線(農道)へと左折して、道なりに2キロほど進んで左にカーブすると、眼前に函館山を見渡す位置に出ます。
 
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日没直後の明るさが残っている時間帯では、市街地の建物に夕陽が当たって、輝いているよう。
 
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暗くなる頃には、電信柱が並ぶ道路に、夜景鑑賞に訪れた車がずらりと並びます。ここからは、城岱牧場とは違った角度で、より近くに市街地のまばゆい光を見ることができます。
 
Café en函館市街地から車で約15分。夜の食事は前日までに要予約。
 
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函館市内では、ほとんどの裏夜景スポットは屋外なのですが、屋内でゆっくりと食事やお茶を味わいながら、夜景を楽しめるのが「Café en」。函館湾の向こうに、道南・木古内や知内方面の山々の陰影が見えます。
 
cafe T's+ 函館市街地から車で約15分。夏は漁火がよく見えます。
 
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ゴルフ場やパークゴルフ場の多い東山地区も裏夜景の楽しめるエリア。五稜郭公園付近にある函館市中央図書館前の東山墓園通りを北東に進み、東山墓園、新東山墓園方面に上っていきます。高台にある「cafe T's+」は、見晴らし抜群のカフェ。大きな窓から、天気のいい日には函館山や津軽海峡が遠望でき、手前に函館市街の街灯りが広がります。
 
◆一番身近な「裏夜景」は、五稜郭タワーから眺める街灯り
 
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函館山展望台から、市街地をはさんで夜景の正面に五稜郭タワーが見えます。ということは、五稜郭タワーからも街並みと函館山を眺めることができるということ。展望台の高さは90メートルで、上で紹介した裏夜景スポットより低めですが、街の灯りが目の前に広がる様子は見事です。函館山の右には函館湾、左には津軽海峡も眺められます。営業時間の関係で、夜景の時間に展望台に上れるのは秋~春の間なので、日没時刻をチェックしてみましょう。
 
五稜郭タワー
営業時間 8~19時(4月21日~10月20日)、9~18時(10月21日~4月20日。五稜星の夢イルミネーション期間中は19:00まで)
展望料金 大人900円、中高生680円、小学生450円
 
◆海越しに見る街灯りが魅力、湾の対岸の「横夜景」
 
 函館山からの夜景が「表夜景」。函館山を正面に見るのが「裏夜景」。そしてもうひとつ、湾を挟んで横から見る夜景は、秘かに「横夜景」と呼ばれて、知る人ぞ知る絶景と言われています。大きく見れば、津軽海峡を挟んだ青森の大間町からは、函館山と横一線の光の帯が輝く「横夜景(よこやげー)」が楽しめるそうです。
 
・北斗市上磯駅前付近
 
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この写真は、函館市街地から函館湾を挟んだ対岸、北斗市上磯駅前付近の海辺から見た景色。函館山から左手に橋のように続く街灯りがきれいです。右の明るい光は、セメント工場の海上桟橋。夜景に彩りを加えています。函館市街地から国道228号線を車で約20分。右手に郵便局、左手に駐車スペースがあります。
 
・道南いさりび鉄道の車窓
 
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また、函館と木古内(北海道新幹線停車駅)を結ぶローカル線「道南いさりび鉄道」の車窓からは、函館山とそれに続く街灯りが見えるスポットもあります。季節によっては、いか釣り漁の漁火(いさりび)が見られることも。夕方に景色を楽しみながら乗車するのもおすすめです。写真は上磯~茂辺地間。
 
 
・函館市熱帯植物園付近の海岸
 
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函館市内で手軽に見るなら、湯の川の函館市熱帯植物園付近の海辺から。函館山の裾を彩る街灯りが美しく見えます。
 
・啄木小公園
 
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大森浜の啄木小公園からも、函館山と、海に映る街灯りを見渡すことができます。ロープウェイの軌跡までくっきり。
 
表から裏から横から。見る場所と時刻によって、様々に表情を変える函館の夜景をぜひお楽しみください。
 
2012/7/27公開 
撮影協力/Yukihiko Sato(きじひき高原、赤川、横夜景)
 
 
●今回紹介した夜景観賞スポット(下の施設名をクリックすると、「はこぶら」の紹介記事へ)

 

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 赤川の高台
 上磯駅付近

 


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