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街歩き
函館のでんけん(伝統的建造物)を巡ってフォトウォーク

函館の「伝統的建造物群保存地区(でんけん地区)」は、異国情緒豊かな街の景観や建造物を保護しているエリアです。幕末から海外の文化が流入して領事館や教会などが建てられ、それに溶け込むように、独特の魅力ある建物が点在しています。気になる建物を探して写真を撮りながら、ぶらぶら散策はいかがですか。


◆「でんけん地区」ってどんな場所?

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「でんけん地区」は函館港と函館山にはさまれた「西部地区」にあり、金森赤レンガ倉庫周辺(青色のエリア)と、大三坂・基坂とそれをつなぐ港ヶ丘通り沿い(黄色のエリア)からなります。このあたりは、江戸時代末期から明治、大正、昭和と大きく繁栄した「函館発祥の地」としても知られています。観光名所としても人気の教会群や洋館、坂道や石畳の街路などが融合したこのエリアは、函館の見どころのひとつです。


特徴1 歴史的に貴重な建造物が集合
「でんけん地区」には、明治・大正・昭和初期の歴史的に価値のある伝統的建造物(でんけん)がそのまま、もしくは当時にかぎりなく近い形で残されています。特に、1階が和風、2階が洋風の「上下和洋折衷の木造建築」は函館ならではのユニークな建造物。そのほか、洋風、純和風、コンクリート造りなど、バラエティに富んだ建物が、狭いエリアのなかに建ち並んでいます。


特徴2 カラフルで個性的な建物が写真映え満点
函館には、西洋の影響を受けた色鮮やかなパステルカラーの歴史的建造物が数多くあります。また、外観のアクセントに個性的なデザインが見られるものも多数。ピンク、イエロー、モスグリーンなどのカラフルでおしゃれな建物を巡り、撮影を楽しみながら散策できます。


特徴3 函館観光の定番、坂からの景色も魅力
このエリアには、大三坂、八幡坂、基坂など、観光名所になっている人気の坂が含まれています。函館山を見上げながら坂を上り、港を見おろす......。おなじみの絶景ポイントも合わせて楽しみましょう。


◆「でんけん地区」を巡るおすすめコース


ベイエリアからスタートし、函館山のふもとの坂道を上り下りして巡る散策コースをご紹介します。定番観光スポットをおさえつつ、カラフルな「非日常」を撮りながら歩くフォトウォーキングにおすすめのエリアです。約1.5キロのルートで、歩いて1時間ほど。施設の滞在・館内見学などを含めても2~3時間程度で、函館西部地区の魅力をコンパクトに堪能できる、「いいとこ取り」の散策コースです。

※函館ハリストス正教会は聖堂保存修理工事のため、2022年12月中旬まで建物の公開休止中。外観も見ることができないので、コースから除いています。(詳細

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「でんけん地区」の伝統的建造物には、函館市が独自に作成したプレートが設置されています。正面の壁面などに取りつけられているので、目印にして散策してみてください。


末広町14番2号 明治43(1910) ※年号は建築年(以下同)

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110年以上前の明治時代に建てられたレンガ造りの倉庫。吹きガラス体験などができる工房として利用されています。アーチ型の入り口と寄棟造(よせむねづくり)と呼ばれる4方向に傾斜している三角形の屋根が見どころです。


(2)箱館カネサ佐々木邸 
末広町15番6号 明治42(1909)

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1階が和風の濃い茶色、2階が洋風の鮮やかなグリーンと、コントラストをきかせながら街並みに調和しています。上下和洋折衷の建物は函館の古い建造物に見られる特色のひとつです。リノベーション後、2019年に駄菓子屋風の店として開業。

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屋根を支えている「持ち送り」と「軒蛇腹」の形状も特徴的なので、注目してみてください。


(3)川越電化センター
末広町18番21号 明治40(1907)

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大三坂の上り口にある、印象的な建物。真っ先に2階のバルコニーとギリシャ風の木柱が目に入り、市電からも真っ白な板壁と深緑の屋根が目立つ洋館ですが、明治当時はピンク色の建物だった説もあるそうです。

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「リューリ商会」というロシアの貿易商の事務所だった洋館で、大三坂側の窓側のレリーフも非常に凝ったものになっています。


(4)大三坂ビルヂング
末広町18番25号 大正10(1921)

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高級感のあるスタッコの白い外壁が目を引く大正モダンの建造物で、生命保険会社の函館支店として建てられたものです。1階は函館では珍しいシーシャが楽しめるカフェ、2階はシェアオフィスとしても利用可能です。

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なめらかな曲面やメダリオン(円形の装飾)など、細部の装飾部分もこの建物の存在感を引き立てています。


(5)佐藤理容院、藤山家所有建物
元町30番10号 大正10(1921)

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大正時代に建てられ、近年まで理容院として使われてきた上下和洋折衷の木造建築。左側の住宅(藤山家所有建物)と合わせて、1棟2戸建ての建物です。

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理容院の外観部分の意匠は改変されているものの、昭和の面影を残した床屋さんの店構えと、ピンク色が映える住宅の2階の洋風スタイルという不思議な組み合わせ。2つの窓や、屋根の形状も独特です。


元町30番6号 大正10(1921)

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現在はパン屋さんとして利用されている鮮やかなクリーム色が映える建物は、大正時代に建てられた上下和洋折衷の木造住宅です。1階は和と洋が混じりあった不思議なデザインで、低い位置の左窓も特徴的です。

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2階はヨーロッパ風。淡いブルーの窓枠の配色も美しいです。上下和洋折衷の建物が多い函館の西部地区は、ロシアのウラジオストクの街並みを参考にして作られたといわれています。


元町30番3号 昭和7(1932)

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函館を代表するハム・ソーセージを生み出したカール・レイモン氏の旧居宅は、昭和初期に建てられた洋風の建物。外壁はグレー色の落ち着いたトーンのモルタル塗り、シンプルな縦棚の窓なども、このエリアに多い和洋折衷の住宅とは異なる趣があります。


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リノベーションの際に一度は失われたトレードマークの蔦も、再び見られるようになりました。


(8) 佐々木家住宅
元町15番26号 大正10(1921)

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大正時代の木造住宅で、 和風の引き戸がある1階出入り口と、2階の洋風の外壁とのアンバランスさが印象的です。


(9)鷲見家住宅旧亀井邸
元町15番28号 大正10(1921)

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出窓のなめらかな曲面、反り立つ屋根、出窓や煙突の形状などの見どころが多い、大三坂でも異彩を放つ洋館です。ヨーロッパで流行していたセセッションという建築様式に影響を受けています。文学者・亀井勝一郎の実家だった建物。

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曲面が美しい石壁も伝統的建造物に指定されており、撮影スポットとして映える建物です。


元町15番30号 大正13(1924)

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江戸末期に最初の教会堂が建てられた、国内では横浜と長崎と並んでもっとも古い歴史をもつカトリック教会。12世紀のゴシック建築様式の教会は5代目で、高さ33メートルの大鐘楼を持つ聖堂は大正時代に完成したものです。

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教会聖堂と隣接する「カトリック元町教会司祭館(右)」も、聖堂とほぼ同時期に建てられた伝統的建造物です。


(11)真壁家住宅店舗手作りソフト大三坂
元町17番9号 明治41(1908)

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1階は簓子(ささらこ)下見板張と格子の入った引き戸や出窓の和風、2階は縦長窓が四つ並ぶ洋風で、和洋折衷様式の建物。元は漁業関連会社の社宅だった町家で、現在は向かって右横の出窓を利用したソフトクリームショップの店舗として利用されています。


(12)遺愛幼稚園
元町4番1号 大正2(1913)

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大三坂を上りきったら右手は港ヶ丘通り。函館ハリストス正教会(修復工事中)の先にあるのが、大正初期に建てられたアメリカの建築スタイル「スティックスタイル」の建物で、現役の幼稚園として使われています。現在は淡いピンクの板張りの外壁のイメージですが、建築当初は深緑、その後はクリーム色だったこともあったそうです。


(13)茶房菊泉
元町14番5号 大正10(1921)

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このエリアでは珍しい和風平屋建ての住宅で、酒問屋「菊泉」の別邸として大正時代に建てられました。TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の劇中に登場する甘味処として、ファンにはお馴染みの聖地です。


(14)花かんろ 
元町14番6号 大正10(1921)

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1階は大正時代の木造平屋建て建築。昭和に長らく駄菓子屋さんとして営業していた場所で、看板からは昭和レトロの雰囲気が楽しめます。その後、甘味茶房として親しまれていましたが、現在休業中。2階部分は近年増築されたものです。


(15)元町日和館
元町10番13号 大正10(1921)

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平たく長い板が重なる「南京下見張り」と呼ばれる外壁や、縦長窓、引き戸、出窓の組み合わせなど、見れば見るほどユニークな建物。現在は函館の作家の作品や雑貨を扱う土産物屋として利用されています。


(16)小林家住宅
元町10番9号 大正11(1922)

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「京下見張り」の外壁など、真っ白な外観の洋風建物。壁面の胴蛇腹などは、西部地区に多い上下和洋折衷住宅と同じような装飾になっています。

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洋館同様、向かって左の純和風の建物「小林家所有建物」も伝統的建造物に指定されています。左右に全く異なる様式の建造物が並ぶのもこのエリアならではの風景です。


元町11番13号 明治43(1910)

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西洋スタイルを日本の建築技術で表現し、ヨーロッパとアジアの建築が融合した洋風木造建築。国の重要文化財です。修復によって2021年に蘇った現在の青灰色と黄色の配色は、明治時代のオリジナルのカラーを再現したものです。内部の展示など見学可能。

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2階バルコニーのコリント様式の円柱やドーマーウインドーと呼ばれる屋根から突き出た小さな窓は、北海道で独自に進化した洋風スタイルの建物の特徴となっています。


元町12番18号 明治42(1909)

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元町公園内にある伝統的建造物。ミントグリーンが目を引く洋館で、ルネッサンス様式を基調としています。かつての政治の中心地の象徴である壮観な建物で、正面玄関のコリント様式の柱など、明治時代の洋風建築を代表する建物です。北海道の有形文化財に指定。

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横から見た建物。大きな円形のレリーフやしっくいの壁など、細部にもぜひ注目を。


元町33番11号 大正2(1913)

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函館市旧イギリス領事館は、江戸末期にアメリカ、ロシアに次いで開設されました。幾度かの大火による焼失を経て、大正時代に基坂沿いのこの場所に竣工され、1934(昭和9)年まで領事館として使用されていました。現在は開港記念館として一般開放されています。

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目のさめるような白い壁と、ベランダ部分の上部が円形になったブルーの窓枠の組み合わせが風格を感じさせます。


大町9番1号 大正2(1913)

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基坂を下りきった電車通りの角にあるペパーミントグリーン色の木造2階建て。軒や窓枠などの細かな装飾が非常に凝った作りになっていて、屋根から突き出たルネッサンス様式の窓も魅力です。

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電車通り沿いなので、レトロな市電と一緒に撮ったり、基坂の下から函館山と一緒に撮るスポットとしてもおすすめです。


【伝統的建造物位置図】
PDF(函館市都市建設部 まちづくり景観課)

番号に対応する伝統的建造物(建物・塀・門など77の建造物が対象)の一覧表はこちら


※記者HH 2022/4/25撮影、5/31公開