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個性豊かな19本、函館の坂の魅力を全公開
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函館の街歩きといえば、やはり西部地区(函館山のふもとのエリア)がはずせません。海と山のさまざまな景観を演出し、多彩な歴史的建造物とともにあり、散策をワクワクするものにするのは、なんといっても「坂」の存在です。観光名所になっている人気の坂から、新たな発見がありそうなマニアックな坂まで、見どころを徹底的にご紹介します。


◆西部地区の坂は全部で19

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参考資料/はこだて検定公式テキストブック

函館山のふもとには、函館港を背にして、市電の通りから山頂に向かってほぼ平行に、何本もの坂道が走っています。名前がつけられているのは19の坂。市電の電停でいうと、函館どつく前から十字街を経て青柳町の間に、それらの上り口があります。

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それぞれの坂の上り口と中ほどには、案内柱が設置されています。全体の位置関係と坂の説明があるので、坂めぐりの心強い味方です。

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案内柱の上部にも注目! 函館市の鳥「ヤマガラ」のオブジェがちょこんと留まっています。


◆函館の坂の楽しみ方

【見上げる坂、見おろす坂......見る位置で違う風景を楽しむ】

坂によって、見上げる風景が魅力的だったり、見おろす風景が美しかったり、個性いろいろ。坂の上には函館山、坂の下方向には港が位置して、上り下りしながらお気に入りの景色をカメラに収めるのもおすすめです。

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八幡坂から函館港と青函連絡船記念館摩周丸を見おろす、函館でもっとも人気が高いといわれる景色。

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基坂から函館山を見上げると、正面に旧函館区公会堂が見えます。


【坂の途中の個性的な建物に注目】

坂の走る函館山のふもとには、明治から大正、昭和初期に建てられた歴史的建造物が点在しています。坂を歩いて、周辺の建物をチェックしてみましょう。

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東坂の中ほどにあるレンガ造りの明治建築、中華会館。内部は非公開ですが、外からでも荘厳な純中国様式が感じ取れます。

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船見坂の上方にある大正建築、大正湯。映画「パコダテ人」の舞台にもなり、ピンクの板壁のレトロな外観が印象的です。


【体力試し! 急な坂、長い坂に挑戦】

坂といえば、きつい、苦しいと思われがちですが、それも旅のいい思い出になります。坂によって勾配や長さはさまざま、ぜひ実際に体感してみてください。

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アイヌ語で「チャチャ(おじいさん)」が腰をかがめて上るというほどの急坂、チャチャ登り。

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最上部からの絶景は、がんばったごほうびに!

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長い長い幸坂の上部には旧ロシア領事館があります。港に入る船がよく見える好立地だったということでしょう。


◆19の坂の魅力を一挙にご案内

それでは、ひとつひとつの坂の魅力をテーマごとにご紹介します。魅力を語るのは、今回の撮影を一手に引き受け、坂を知り尽くしたカメラマン・田村昌弘さんです。

【幅の広さで群を抜く、3大メジャー坂】

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二十間坂(にじゅっけんざか)
度重なる大火への対策で、幅員が二十間(約36メートル)と非常に広くとられ、石畳が印象的な坂道。大きな広場を思わせる雰囲気も持ち合わせています。突き当たり近くには真宗大谷派 函館別院。沿道にはケヤキの街路樹が並び、夏には心地よい緑陰をつくり、冬にはイルミネーションが灯ります。

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八幡坂(はちまんざか)
数多くのCMや映画などの舞台となっている八幡坂。坂上の函館西高校前は、函館でもベストなビュースポットで、冬のイルミネーションの美しさも格別です。一方で、坂の下や、港の向こう側から見ると、まっすぐに伸びる広い坂や、旅行者などが楽しげにポーズをとる姿も見通すことができて、意外な魅力が感じられます。

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基坂(もといざか)
八幡坂と並ぶ人気のビュースポット。坂下から見上げる光景が断然おすすめで、開放感ならここが一番です。最も映えるのは、すっきりと晴れあがる空。旧函館区公会堂や通り過ぎる市電を借景に、素敵な空に出会えます。

⇒3つの坂をめぐる、おすすめコース「これが王道!元町散策」


【ナナカマド並木の紅葉が美しい人気の坂】

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大三坂(だいさんざか)
「日本の道100選」にも選ばれた函館を代表する坂。日常生活のなかに異国情緒を漂わせる建築が点在する街並みには、古きよき街の佇まいがぎゅっと凝縮されています。秋には街路樹のナナカマドが紅葉し、その美しさでも人気。

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常盤坂(ときわざか)
観光スポットからは少し外れて、あまり知られていない坂ですが、閑静な住宅街に和洋折衷スタイルの民家が点在し、落ち着いた雰囲気が魅力。秋には街路樹のナナカマドが色づく様子が見事。人気の大三坂にはない眼下の港の風景で、さわやかな秋が感じられます。


【長さや急勾配が特徴の、坂らしい坂】

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幸坂(さいわいざか)
19ある函館の坂のなかで一、二を争う延長を誇り、まっすぐに港まで伸びて、見通しのよさもピカイチ。坂の頂上、山上大神宮脇の船見公園からは、函館の港や街が一望できます。また一番下のふ頭からも、頂上まですっきりと見渡せます。

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弥生坂(やよいざか)
広く見通しのよい坂で、沿道に住む人が多く、暮らしの賑わいがあります。主要な坂の中では最長のもののひとつで、坂上には細く長い急坂が続き、どこまでも上がっていけそうな期待感が高まります。前出の幸坂とは上部でつながっていて、合わせて上り下りすると達成感満点です。

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南部坂(なんぶざか)
ロープウェイ山麓駅へと導く南部坂。坂の下方はバス路線にもなっていて緩やかですが、山麓駅が近づくにつれて、急激に勾配がきつくなります。本当に歩いて上れるのか?と思うほどで、壁のようにも見える坂の風景がみどころです。

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チャチャ登り(チャチャのぼり)
人気の大三坂の上部に続いている狭い急坂。息を切らすほどの急勾配ですが、夏は緑濃く、晴れた日には坂道を上る足取りも軽くなります。木々が葉を落とすと、3つの教会が間近に姿をみせ、どこか荘厳な気持ちに。ぜひ季節ごとに訪れてほしい場所です。

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東坂(あずまざか)
基坂・弥生坂という、賑わいのある坂に挟まれた東坂。かつて歌人・石川啄木も勤務した弥生小学校の脇にあり、坂に面するグラウンドから子どもたちの元気な声が聞こえてきます。下方はそれほどでもありませんが、かなりの急勾配。上りきると港の景色が一望できます。


【朝日や夕焼けの眺めが期待できる坂】

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護国神社坂(ごこくじんじゃざか)
坂上の函館護國神社の鳥居下から函館の街が一望でき、さらに津軽海峡や函館東部の汐首岬も見渡せます。朝日を望むならここがおすすめです。護國神社の境内は函館山の森と接していて、自然が身近に。木々の中から野鳥のさえずりが聞こえてきます。

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姿見坂(すがたみざか)
隣の常盤坂とともに、坂を下りるとまっすぐ西ふ頭に突き当たります。ここはかつて北洋漁業の船団で大いに賑わった港。夕暮れ時には、西日を背にして、ほんのりと茜色に染まる港の眺望が映えます。

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魚見坂(うおみざか)
19本の中で一番北側に位置する坂で、坂下に向かって左手には家々の間から函館湾が望めます。山並に沈む夕陽が見られる絶好のスポット。坂に沿って寺院や墓所が立ち並び、盆や彼岸には多くの人で賑わいをみせます。


【そのほか、暮らしに溶け込んだ坂いろいろ】

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船見坂(ふなみざか)
函館山のふもとの西部地区で、元町教会群と外国人墓地を行き来する際に通過する、住宅街の坂。レトロな洋風建築の銭湯や、明治建築の蔵を改装した蕎麦屋など、観光地とは少し違った下町の風情が感じられます。

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千歳坂(ちとせざか)
スーパーマーケットや商店街などがあり、隣の船見坂同様、下町っぽい風情の路地みたいな坂。突き当たりには東本願寺船見支院、実行寺称名寺など、歴史ある寺が並びます。港を見おろす光景も印象的。

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日和坂(ひよりざか)
坂下には市電の「末広町」電停があり、朝夕は通学の函館西高等学校の生徒が上り下りします。隣は観光客で賑わう八幡坂ですが、こちらは高校生たちの普段使いの坂です。日中は函館山を背景にして、坂道の照り返しがじつに映えます。

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谷地坂(やちざか)
函館山に向かう部分は短い坂ですが、左に折れ曲がって、函館公園前を経て谷地頭へと向かうなだらかな坂に続きます。この辺りは早朝から夕方まで日当たりがよく、猫が日向ぼっこをする姿もよく見かけるような、のどかな雰囲気です。

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あさり坂(あさりざか)
坂の起点の交差点には、この坂から名前をとったといわれるすき焼きの名店「阿さ利本店」があります。住宅街の閑静な佇まいのなかに、亀井勝一郎文学碑など歴史や文化の香りがあるので、目を凝らしながらの散策がおすすめです。

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青柳坂(あおやぎざか)
隣のあさり坂と同様に、民家が建ち並ぶ閑静な坂道。19の坂の中で南の端となるこの2つは、港側の坂や観光で賑わう地区とは少し違った風情。坂の途中にはお寺や学校、上りきって左手には函館公園があり、歴史や文化が生きています。


※撮影・坂紹介/記者MT、まとめ/編集室M 2020/8撮影、2021/1/9公開